「食人族」に始まり、「ブレア・ウィッチ」で換骨奪胎し、「パラノーマル」で終焉を予感させたPOV(この場合は主観視点によるフェイク・ドキュメンタリー)。
この間、表現として様々な工夫がされてきましたが、ぐるっと一周して原点回帰。
ブレーキ掛け損なってホームはみ出ちゃいました、な展開が個人的には大好きです。
「ラスト・エクソシズム」
(2010年/ダニエル・スタム監督)
俺の名前はコットン・マーカス。職業は牧師。
教会はステージ、説教は興行。求めるものを与え、気持ちよく献金させるのが仕事さ。
悪魔祓いもやっちゃうよ。勿論、悪魔なんかいやしない。それらしい仕掛けとトリックで取り憑かれているという妄想を払拭してあげるのさ。
でも、悪魔祓いで息子と同じくらいの歳の男の子が死んだって記事を読んだら、途端に全てが嫌になってしまったんだ。
だから、悪魔祓いがまやかしだって事を証明する記録映画を撮ることにした。
場所は山ほど来る相談依頼から適当に選ぼう。…よし、ここだ。
そこは地獄の一丁目。
誰もが普通に悪魔の話をするディープ・サウス。依頼主は牧場経営者。娘が悪魔に憑かれたので祓って欲しい。
ちょっとした精神疾患を手馴れた手つきで悪魔憑きと信じさせ、様々な小道具を使ってなんちゃってエクソシズム。はい、一件落着。
…のはずでしたが。
ここからお話はゆったりと上り詰めたジェット・コースターの如き乱高下。
SEもバシバシ入って、映画的演出満開(←評価の分かれる所かと思いますが、盛り上がり重視なので支持します)。
再び執り行われるエクソシズム。これで本当の一件落着…の訳ゃないですよね。
最後に待ち受ける驚愕(?)のオチは、オカルト・ホラーとしてはお約束ですが、記録映画(モキュメンタリー)の体を取る中で…となると“大暴走”の部類に入るかもしれません(←ここがまた評価の分かれる所だと思いますが、ノリ重視なので支持します)。
アメリカの(しかも南部の)田舎町の素晴らしさをご堪能ください(製作者イーライ・ロスのニヤニヤ笑う顔が目に浮かびます)。
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