エレベーターに閉じ込められた5人の男女。
ただそれだけの設定で80分引っ張る力技。
演出を若手に委ねた事が吉と出た感じですが、この人の語り口の巧さはもうちっと評価されても良いような気がします。
「デビル」(2011年/ジョン・エリック・ドゥード監督、M・ナイト・シャマラン製作・原案)
高層ビルのガラスを突き破ってアイ・キャン・フライな飛び降り自殺。
狩り出された刑事は5年前、家族を轢き逃げされて酒に溺れたドランク・デカ。
捜査の最中、同じビルのエレベーターに偶然乗り合わせ、そして閉じ込められた男女5人。
それは悪魔の仕組んだ小粋なゲーム。
断続的な停電。闇が訪れる度に起きる事件。疑心暗鬼。
その様子をモニタリングしている警備室。音声は警備室からの一方通行でエレベーター内の会話は警備室には聞こえないという設定が効いています。
デビルというタイトルが比喩でも暗喩でもないという所が流石シャマランです。
観終わって感じるのは「何だ、悪魔っていい奴じゃん」という事。
これ観ていると、この世の悲惨は全て神の気まぐれによるタチの悪い冗談で、その尻拭いをしているのが悪魔って気がしてきます。
本作は、シャマラン監督が、これまでに考えついた数々のアイデアを、スタッフ・キャストに期待の新鋭を起用して映画化していくプロジェクト“ザ・ナイト・クロニクル”の第1弾なんだそうです。
第2弾、ちょっと期待してしまいます。
※参考:「絵だけ。それでもデストピアは甘美。 ハプニング」→2009年10月20日
★以下余談
さて、オリンピックが閉幕いたしました。恐らく私は日本で(いや世界で)最もオリンピックに関心を示さなかった男のひとりではないかと思いますが、特筆すべき事件がひとつだけありました。
それはシンクロナイズド・スイミング。
ロシアのナタリア・イーシェンコとスベトラーナ・ロマシナが選んだ曲がなんと「サスペリア」!しかも、結果「金」!
よもや、全世界注視の大舞台でゴブリン・サウンドが鳴り響くことになろうとは!
次は是非「ゾンビ」のテーマでお願いいたします。