デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

え、日本列島…? 銀河ヒッチハイク・ガイド

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お人よしで紅茶が大好き。冴えない英国人、アーサー・デント(マーティン・フリーマン)。

彼の家は理不尽にも取り壊されようとしていました。

『デントさん、ここはバイパスの建設予定地なのでご自宅は撤去します』
『聞いてないよ!』
『計画は9ヶ月も前から地元の設計課に貼り出してあったでしょ』
『地下でだろ! 大体何でバイパスなんか作らなきゃならないんだ?』
『バイパスだからです!』

という不毛な会話を繰り広げるデントと作業員の頭上に突如、巨大宇宙船団が。

『地球のみなさん、御機嫌よう。こちらは銀河超空間土木建設課です。ここは宇宙ハイウェイの建設予定地なので、今から地球を撤去します。この計画はアルファ・ケンタウリにある出張所に50年前から告知されていました』

一瞬で灰燼に帰す地球。

ひょんな事から命拾いをして地球人最後の生き残りとなったアーサー・デントは命の恩人フォード・プリーフェクト(モス・デフ)と共に銀河放浪の旅へ。

頼れるものはお茶とタオルとこの1冊。

銀河ヒッチハイク・ガイド(2005年/ガース・ジェニングス監督)

二人が目覚めたのは地球を爆破に来たヴォゴン人の宇宙船の物置部屋。

売れない役者だとばかり思っていたフォードは実はベテルギウス系の小惑星で生まれた宇宙人で、銀河ヒッチハイク・ガイドの現地調査員なのでした。

奇想天外という古めかしい表現がぴったりのSFなので、以後のストーリーは割愛(全体の雰囲気は「マグノリア」+「ギャラクシー・クエスト」)。

原作はダグラス・アダムスの小説(正確にはBBCのラジオドラマ用脚本を、作者ダグラスが小説化したもの)。

この映画版も本人が脚本執筆しておりましたが、2001年に急逝(命日が俺の誕生日と一緒だ!)。遺稿を元にキャリー・カークパトリックが最終稿に仕上げました。

細かい改変は多々ありますが、概ね原作に沿った内容です(原作原理主義の人たちは文句を言っているようですが)。

ラストに関しては大鉈振るう変革がなされて(当然、原作原理主義者からは大ブーイングが出て)いますが、映画としてはこれで良いと思います。

ただ、原作を読まないとちいっと分かりにくい箇所(例えば、何故ヒッチハイク前にビールをがぶ飲みする必要があるのか、ヒッチハイカーにとってタオルが最重要アイテムなのは何故か、ヒッチハイカーが大嫌いなヴォゴン人の宇宙船に拾われた理由、など)も多々あるので、映画を観た後(この順番は大事)、原作を読む事をお薦めします。

逆に原作では触れられずに映画で明らかになった事(宇宙人フォードが地球人デントを地球爆破直前に助けた理由とか)もあるので、相互補完してください。

個人的に本作の最大の見所は、爆破された地球のバックアップ(!)が映るカット。

データを元に再生中の地球にカメラが寄ると見覚えのある大地。おっとこれは…

日本列島じゃないですか!

何故、イギリスではなく、アメリカでもなく、惑星職人が“フィヨルドが評価されて賞をもらった”ノルウェーでもなく日本なのでしょう?

スタッフの誰かが日本贔屓だったのでしょうか。

登場キャラの中では何と言っても、“完全な人格”を移植されてしまった為に抑鬱症になり、常に後ろ向きで辛気臭い発言しかしないネガティブ・ロボット、マーヴィンが最高でした。

『人生? 私に人生を語られてもねえ…。あなたが生還する確率を計算できますが、きっと気に入らないと思いますよ。いいんです、私の事は。ああ気が滅入る…』