漆黒の闇の中を漂う巨大なドーム。納めたるは緑の記憶。
地球では生存する事ができない自然を封じ込めたノアの方舟。そこに人の姿はありません。
お世話をしているのは1体のドローン(ロボット)。主人である人間の出した最後の命令『自然を守れ』だけを忠実に…。
話もキャラも荒削り。突っ込み所は満載ですが、このビジュアルの前に言葉は無力。
駿さんが「ラピュタ」のラストでパクッてますが、太陽に照らされながら天空を漂い続けるラピュタと、誰に気づかれることもなく光の無い空間を彷徨うドームに眼差しの違いを見ます。
(1972年/ダグラス・トランブル監督)
植物が全て絶滅した近未来。地球全体が人工的に管理され、気温が常に25度に統一された“快適な”世界。
僅かに残った植物は宇宙へ。土星軌道に浮かぶ3隻の貨物船に取り付けられた温室ドーム、そこが地球の植物最後の居場所。
いつか再び地球を緑の大地に…。しかし、その志を持っているのは、植物学者のフリーマン・ローウェル(ブルース・ダーン)ただひとり。
そこに下った地球からの指令。『ドームを全て核爆発廃棄して地球に帰還せよ』
そんな馬鹿な! 次々切り離され、爆破される植物ドーム。このままでは緑が、地球最後の森が…。
本来なら中盤のクライマックスにしてもよさそうな宇宙船ジャックを序盤でやってしまうので、尺のほとんどはブルース・ダーンの一人芝居。
お相手は3体のドローン(ロボット)“ヒューイ”“デューイ”“ルーイ”。
彼らの動きの愛らしさと言ったら、もう…(演じているのは大きく身体欠損した方々との事)。
彼らを待ち受ける運命を想うと出て来ただけで泣きそうになります。
ブルース・ダーンが正義漢というよりは、やや病的なキャラなのが逆にいい感じ。
ジョーン・バエズの歌が沁みます。