「恐竜? テーマパークでも作る気か?」
どこかファンシーにすら見えるジャケ写に惑わされてはいけません。
製作総指揮:ロジャー・コーマン。それは良質(?)の娯楽を保証する信頼のブランド。
「ダイナソークライシス」
(1993年/アダム・サイモン監督)
「ジュラシック・パーク」と同年。肉眼では補足できないマッハの後出しジャンケン。
しかも、女キチ●イ博士にローラ・ダーンの実母・ダイアン・ラッドを起用。
DND操作で誕生した恐竜という「あー、はいはい」な設定を逆手にとって、前半「悪魔の赤ちゃん」、後半「クレイジーズ」(ロメロの方ね)という豪華B級カーニバル。
永らくディズニーチックなジャケに二の足を踏んでいたのですが、英国TOTALFILMの「30 Most Gruesome Movie Diseases」(意訳: こんな病気で死ぬのは嫌だあ!ベスト30)のランキングに本作が入っているのを見て俄然興味が湧きました。
え? 病気なの? 恐竜が暴れまわる話じゃないの?
確かに恐竜は暴れ回りますが、それはイカレた女科学者による陰謀。目的と増やし方が景気良く狂っています。
『敬愛するモロー博士は言ったわ。自然を研究する者は自然並に無慈悲になる』
パクっておきながら「ジュラシック・パーク」はギャグのネタで、リスペクトしているのは「ドクター・モローの島」(実に “いい感じ”)。
恐竜の特撮が安いショボいセコいのが難と言えば難ですが、この手の映画ではそれすらも味わい(お約束ですよね)。
スピルバーグには申し訳ないですが、ご家族向けアトラクション・ムービーの域を出ていない「ジュラシック・パーク」よりは毒と娯楽が渾然一体となった本作を是とします。