デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【ハンドグリッパーは】ゾンビ・レックス ~ジュラシック・デッド~【戦闘兵士の必携品】

どう紹介すればいいのだろう。作り手が映画であることを放棄した映画について。彼らが愛したのは「死霊のしたたり」「キル・ビル」「悪魔のいけにえ」そして僕。
(「ある愛の詩」冒頭のオリバーの独白な感じで)

余りの支離滅裂さにとてもシラフではいられません。とりあえずジンを1杯。

「ゾンビ・レックス ~ジュラシック・デッド~」(2017年/ミルコ・デイヴィス&トーマス・マートウィック監督)

ミルコ・デイヴィスさんは「ZOMBEE ゾンビー ~最凶ゾンビ蜂 襲来~」撮った人ですね(この時点で「映画」は期待できません)。

ウォジック・ボーグ博士は「不死」「死体蘇生」に憑りつかれたたマッドな科学者(よく言えばハーバート・ウェスト)。

政府の研究機関に参加していましたが暴走が祟ってクビ。

大学で教鞭をとりましたが、授業中にネコの死体を謎の蛍光薬で蘇生させてクビ。

辞め際に校長(の会計改竄)を脅したら、直後に車に跳ね飛ばされて。


校長が口封じで殺したような流れですが、何者かに呼吸器押し付けられているのでそうでもないような。

結局、轢いた人が誰で、助けた人とイコールなのかも分からないまま、時計の針は年月不明の協定世界時5時15分(0515 HRS ZULU TIME)に。

いやいやそこは「20××年」とか「3年後」とか示すところだろ。その日の時刻だけ正確に告げてどうするよ。しかも、そこからの時間経過はその後一切話に関係しないのよ。

で、あのイカレた科学者は、どういう経緯か分かりませんが、砂漠にある軍の施設を乗っ取って(どうやって!? 車椅子に乗っているのに?)、恐ろしい怪物を解き放とうとしていいました(とテロップで説明される)。

この危機を打開するため施設奪還に名乗りをあげた5人の兵士(馬鹿の佃煮)。

そこに偶然居合わせた男女4人(オタクカップルとジョックスとその彼女)とイカレ科学者が蘇生させた恐竜(どうやって!? ネコと違って恐竜の死体はそこらに転がっていないぞ)がくんずほぐれつ。

そこに謎の隕石が次々落下。EMPの影響で電子機器壊滅(ディザスター・パニックものだったっけ?)。


実はこの科学者、大昔にこの隕石激突の予言もしていたようで、研究成果は認めないわ予言は信じないわなアメリカに大層恨みを抱いていたようです。

兵士らが施設内に侵入(何のセキュリティーもない)した所で、謎タイマーがカウントダウン開始。

タイマーがゼロになった瞬間、化学薬品か何かを詰め込んだ大量のドラム缶が連鎖爆発して施設崩壊…したと思ったら、そのすぐ脇からミサイルが…。

え、何ここミサイルサイロだったの!?


普通、大陸間弾道ミサイルって仮想敵国に照準合わせている(隕石の衝突を仮想敵国からの攻撃と誤認しての自動報復反応だとしたら余計に)と思うのですが、飛んで行ったのは何故かアメリカ国内(ワシントンDC壊滅)。

しかも、1発じゃなくて複数個が様々な角度から。

え、何、このおっさん、複数のサイロを同時制圧していたの?

攻守双方の目的も手段も後ろ盾も組織も手順も段取りも一切分からない謎映画でした。

以下「おまけ」です。

恐竜にナックルパンチで挑む筋肉バカの傭兵リーダー。安いCGかと思ったら…

被り物合成だったのかよ!


個人的にツボだったカットがこちら👇。


横一列望遠スローで何か得意気な兵士たち。リーダーの胸にブル下がっているのは「ハンドグリッパー」

いやあ、そこは手榴弾だろ。偏差値貧乏を上塗りする見事な小道具です。

本作、2018年1月開催の<未体験ゾーンの映画たち2018>にて上映されました。DVDのジャケには誇らしげに「劇場公開作品」の文字が躍っています(「劇場公開」時のタイトルは「ゾンビ・レックス ~殺人ゾンビ恐竜 誕生」)。

毎度お馴染み「絵に描いた」誇大広告。


トドメはIMDbトリビア「本作はWikipediaには掲載されていない(The film does not have a Wikipedia page.)」

勲章ですね。

★ご参考~糞映画好きには宝物。

 

 

 

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