デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ショーン・コネリーの頭を濡らすとは大胆な…。 メテオ

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アポロ小惑星オルフェウスに彗星が激突。

砕け散った破片がメテオ(隕石)となって地球へ一直線。最大級のものは直径8km。衝突すれば吹き上げられた大量の土砂が太陽を遮って氷河期が…。

オールスター・キャストで監督がロナルド・ニームと聞けば誰もが「ポセイドン・アドベンチャー」ばりのスペクタクルと人間ドラマを期待するでしょうが…。

 

「メテオ」(1979年/ロナルド・ニーム監督)


パニック映画のお約束である市井の人々の視線は皆無。

隕石対応策はソ連攻撃用のミサイル衛星ハーキュリーズのみ(腹案・代替案・保険無し)。

ただしハーキュリーズだけでは破壊力不足(相手がデカ過ぎ)。メテオ粉砕のためには、ソ連のミサイル衛星ピョートル大帝の協力が不可欠。

問題は互いにその存在を秘匿している攻撃衛星の存在を認め、かつそれが兵器ではないことを国民に納得させ、内向きのミサイルを180度回転させ、抜け駆け・裏切り無しで発射しなければならない事。

要するに政治交渉がお話のメインな訳です。

ハーキュリーズの開発者(但し兵器利用は意図していなかった)であるショーン・コネリーと、ソ連の科学者ブライアン・キースとその通訳ナタリー・ウッドが主要キャスト。

さしたる対立も権謀術策も無く(牧歌的だなあ)、ミサイルは平和利用目的施設として公表され、回れ右したミサイルが隕石目指してゴーアヘッド。

これだけではあまりに一本調子過ぎると思ったのか、ミサイル発射時刻にミサイル発射基地のあるニューヨークに小型隕石を飛来させる大技を披露。

ミサイル発射が間に合うのか、そして壊滅した地下施設から無事脱出できるのか、というサスペンスが隕石破壊と同時並行することに。

ハドソン川の水が濁流となって流れ込む中の脱出劇は、ポセイドン・アドベンチャー監督の面目躍如と言いたい所ですが、これが実に蛇足。そしてショボイ。

壁を破って噴き出した泥水がショーン・コネリーの頭部を直撃した時はかなりビビリましたが(何てことするんだ…)。

更に、ニューヨーク直撃シーンはビル倒壊の資料映像が大量投入されて興醒め。

おいおい、その映像はモンティ・パイソンでも使われているぞ。

先発で降って来た隕石による災害(カナダ大雪崩、香港大津波)シーンが、なかなかの迫力だっただけに残念無念。

この手の作品(新旧問わず)を観る度に思います。「妖星ゴラス」(1962)は傑作だったんだなあ、と。

※参考:「奇想天外空想科学映画。 妖星ゴラス
     →2008年7月17日