アポロ小惑星群オルフェウスに彗星が激突。
砕け散った破片がメテオ(隕石)となって地球へ一直線。最大級のものは直径8km。衝突すれば吹き上げられた大量の土砂が太陽を遮って氷河期が…。
オールスター・キャストで監督がロナルド・ニームと聞けば誰もが「ポセイドン・アドベンチャー」ばりのスペクタクルと人間ドラマを期待するでしょうが…。
パニック映画のお約束である市井の人々の視線は皆無。
隕石対応策はソ連攻撃用のミサイル衛星ハーキュリーズのみ(腹案・代替案・保険無し)。
ただしハーキュリーズだけでは破壊力不足(相手がデカ過ぎ)。メテオ粉砕のためには、ソ連のミサイル衛星ピョートル大帝の協力が不可欠。
問題は互いにその存在を秘匿している攻撃衛星の存在を認め、かつそれが兵器ではないことを国民に納得させ、内向きのミサイルを180度回転させ、抜け駆け・裏切り無しで発射しなければならない事。
要するに政治交渉がお話のメインな訳です。
ハーキュリーズの開発者(但し兵器利用は意図していなかった)であるショーン・コネリーと、ソ連の科学者ブライアン・キースとその通訳ナタリー・ウッドが主要キャスト。
さしたる対立も権謀術策も無く(牧歌的だなあ)、ミサイルは平和利用目的施設として公表され、回れ右したミサイルが隕石目指してゴーアヘッド。
これだけではあまりに一本調子過ぎると思ったのか、ミサイル発射時刻にミサイル発射基地のあるニューヨークに小型隕石を飛来させる大技を披露。
ミサイル発射が間に合うのか、そして壊滅した地下施設から無事脱出できるのか、というサスペンスが隕石破壊と同時並行することに。
ハドソン川の水が濁流となって流れ込む中の脱出劇は、ポセイドン・アドベンチャー監督の面目躍如と言いたい所ですが、これが実に蛇足。そしてショボイ。
壁を破って噴き出した泥水がショーン・コネリーの頭部を直撃した時はかなりビビリましたが(何てことするんだ…)。
更に、ニューヨーク直撃シーンはビル倒壊の資料映像が大量投入されて興醒め。
おいおい、その映像はモンティ・パイソンでも使われているぞ。
先発で降って来た隕石による災害(カナダ大雪崩、香港大津波)シーンが、なかなかの迫力だっただけに残念無念。
この手の作品(新旧問わず)を観る度に思います。「妖星ゴラス」(1962)は傑作だったんだなあ、と。
※参考:「奇想天外空想科学映画。 妖星ゴラス」
→2008年7月17日