デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ノアの方舟に乗れるのは白人だけ。 地球最後の日

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以前「メテオ」「妖星ゴラスの原型として「天空が燃えつきる日」1961年)をご紹介しましたが、ここから更に10年遡ったところに原型の原型がありました。

「地球最後の日」
1951年/ルドルフ・マテ監督)


製作は「宇宙戦争」のジョージ・パル

南アフリカ天文学者が、地球に衝突するコースをとる2連の放浪惑星(ザイラとベラス)を発見。

ベラスの直径は地球より遥かに大きいが、伴星のザイラは地球なみの大きさであり、しかも大気や植物が存在すると推定。

更にベラスと地球が衝突した時点でザイラがベラスの引力支配から離れ、元の地球の公転軌道に収まる事が判明します。

う~む、最悪なのかご都合主義なのか判断つきかねます(笑)。

科学者の警鐘は一笑に付され、ベラス衝突直前にロケットでザイラに移住する計画に至っては変人通り越して狂人扱い。

そりゃ、ぶつかってくる星に移住しようなんざ正気の沙汰ではありません。

 
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有志の人力と財力によって始まったロケット作り。積み込むのは番(つがい)の動物、薬品、食料、そして人間40

たった40人?! しかも全員白人?!

現代版ノアの方舟をやりたかったのは分かりますが、そいつは選民思想って奴じゃありませんか先生。

 
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一部の人間だけでぶつかってくる星に移住する、国家の枠を超えた大同団結により地軸に沿って地球を動かして相手を避ける、どちらも奇想天外ですが、懐の深さという意味に於いて後者に親しみを覚えます。

妖星ゴラス」は「地球最後の日」のアンチテーゼだったんですねえ。

さて、本作の見所は大きく3つ。

まずは1947年にゼネラル・エレクトリック社が製作しUCLAに納品したD.A.Differential Analyzer微分解析機)。


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惑星の軌道解析に使われるアナログ計算機ですが、実稼動している微分解析機の映像は貴重です。

もうひとつは惑星の接近に伴う天変地異。ショット数は僅かですが、洪水や噴火の描写はそれなりに楽しめます。


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そして最後に移住者が見たザイラの光景。


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…絵ですそれも小学生の卒業制作のような。よく見ると左端に建造物のようなものがあるのですが、それはどなたがお作りになったのでしょう。

元々この絵は覆面試写会用の間に合わせで、少なくともジョージ・パルはこのカットをミニチュアで撮り直すつもりだったようですが、パラマウントがその前に出荷しちゃったんだそうです(やるなあ、パラマウント)。

※この後、「完全版」を冠にしたDVDが発売され、そちらのタイトルは(差別化を図るためか公開時の邦題に戻して)「地球最后の日」になっています(本記事は購入した旧DVDのタイトルに準拠)。

★ご参考::隕石列伝3連発

 

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