デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

その名は阿羅羯磨。大魔神~フィギュア&北米版BD-BOX

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メーカーの限定生産終了に伴って2万円超えのプレミア価格がついてしまった「大魔神 アラカツマ モノクロVer.[ハイパーホビー誌上限定版]」を(良心的価格で)入手しました。

メーカーは海洋堂

海洋堂と言えば、「特撮リボルテック」バージョンの大魔神が存在しますが、同じ可動系アクション・フィギュアでも、こちらの方がバランス、造型(特に造顔)共に優れています。

造型師は動物系ネイチャー・フィギュアの第一人者、松村しのぶ氏。

ブリスター・パッケージに大きく“アラカツマ”の文字。

漢字で書くと“阿羅羯磨”大魔人の本名って感じでしょうか。大魔神・阿羅羯磨。ま、大天使・ミカエルとかと同じ構文だと思ってください。

本フィギュアの素晴らしい所は、造型の良さ・モノクロ彩色の渋さプラス、再現できるシーンの多様性。

武人像との顔面交換は当然ですが、抜刀自在な刀、全14箇所の可動によるポージング、そして特別付録“謀反人・大館左馬之介”による人間鷲掴みシーンの再現…。

ちょっと勿体無くて開封できません(笑)。

併せてオリジナル映像も確認したくなったので、ソフトを取り寄せました。

「DAIMAJIN~TRIPLE FEATURE[北米版BD-BOX]」

大魔神三部作を納めた北米版BD-BOXですが、お値段なんと2,110円(国内版は12,600円!)。

どれも見所満載ですが、やはり1作目が面白さ、インパクトの両面で頭抜けています。

大魔神(1966年/安田公義監督)

魔人は出たらお終いなので、どうしても見せ場は終盤に集中(と言うか終盤のみ)。そこまでは大魔神登場時に感情がピークになるようドラマとして引っ張らなければなりません。

安田監督は、座頭市眠狂四郎などで鳴らした時代劇の手練れ。

絶頂期の五社英雄を支えたカメラマン・森田富士郎は「作品の空気感を統一するため」本編パートと特撮パートを通して担当。そして音楽は伊福部昭

戦国時代の謀反による当主殺害と領土奪回を目指す遺子・忠文というドラマが重厚。

後に「唖侍・鬼一法眼」「座頭市」「木枯らし紋次郎」「服部半蔵」などキャラクター時代劇の監督となる黒田義之の特撮が冴え渡ります。

特撮は東宝だけじゃない、そして、大映は「ガメラ」だけじゃない、というプロの矜持を見せ付けられる1本です。