その膨らませ方はアリだ。 進撃の巨人/第2話
「エレン、お前が母さんを助けられなかったのは、お前に力がないからだ。
俺が…俺が巨人に立ち向かわなかったのは…俺に勇気がなかったからだ!」
弱い奴は泣くしかないのか…あいつら、この世から…駆逐してやる…この世から…一匹残らず!
100年ぶりの巨人襲来。シガンシナ陥落。ウォール・マリア崩壊。
人類の活動領域はウォール・ローゼまで後退。エレン、ミカサ、アルミンの三人も何とかウォール・ローゼへ。しかし、それは“生き延びた”事とイコールではありませんでした。
「進撃の巨人/第2話・その日-シガンシナ陥落◆檗廖2013年4月17日BS11放送/肥塚正史演出)
現在進行形(連載中)の原作をドラマ化する際の留意点は恐らくふたつ。
・些細な描写も後々の伏線となる可能性があるので、むやみにカットできない。
・下手にテンポアップすると連載に追いついてしまう。
そこで原作に忠実でありながら、イメージを損なわず、かつ設定に矛盾が生じない方向でお話を膨らませる事が必要になります。
第1話は原作忠実でしたが、2話から少しずつ追撮描写が。
避難民を疎ましく思うウォール・マリアの軍人とエレンたちの会話、奴らの世話になんかならない!と言って配給のパンをアルミンに投げつけるエレン、壁の中で生きるしかないというアルミンを弱虫と罵るエレンに黙ってパンチを喰らわすミカサ、といった描写がそれです。
「アルミンが弱虫なら、エレンも私も同じ。私達は巨人から逃げるのも、町から逃げるのも何一つ自分でやっていない。今日食べるものさえ助けてもらった。そんな力の無い人間が、あの巨人を一匹だって倒せるわけない」
エレンが投げつけたパンをエレンの口にねじ込むミカサ。
「食べて。ちゃんと生き残るの。エレンを飢え死にになんかさせない」
原作には無い描写ですが、3人のキャラを立てた上で、ちいっとやかましかったエレンに一発見舞う事で視聴者の溜飲も下げるという素晴らしいシーンでした。
「アルミン、俺は来年、訓練兵に志願する。巨人と戦う力をつける」
「僕も…僕も!」
「私も行こう」
「ミカサ、お前はいいんだぞ。生き延びる事が大事って言ってたろ」
「そう。だから、貴方を死なせないために行く」
14年前の名台詞、「あなたは死なないわ。私が守るもの」を髣髴とさせますね。
「わかった。三人で!」
お話が転がり始めました。