『テン・フォー。了解』
『テン・テン。よろしく』
数ある円谷作品の中で(「恐怖劇場アンバランス」と並んで)最も地味な、しかし最も自由なシリーズ、それが、
大学教授の毛利春彦(黒沢年男)が設立した無線愛好家グループ、通称“毛利チーム”が怪事件を解決していく特撮ドラマ。
立ち位置がSRI(怪奇大作戦)と似ていますが、大きく異なる点がふたつ。
- 逮捕はもちろん捜査の権限すら持っていない民間のボランティア団体である。
- 連絡方法が全て無線。全国の無線愛好家のネットワークを駆使して情報収集に当たる。
特に後者の設定は今で言えばオープンなSNSのようなもので、MIXIやFACEBOOK、TWITTERの前身と言えそうです。
無線愛好者は善意の集合体であり、人間がメディアを有する事で発生するギスギス感というものが(まだ)ありません。この点に関してはいい時代だったのかもしれません。
扱う対象は多岐に渡り、この多彩さがシリーズの自由度を押し上げています。
その傾向が顕著に出たラスト2話。
「第25話・死を運ぶ鳩」(1972年12月18日放送)
大戦末期に旧日本軍が極秘開発していた人間を溶かす細菌兵器「ミクロ・ピラニア」という、この時代ならでは王道ネタ。
怪奇の「人喰い蛾」をベースに「呪いの壷」と「美女と花粉」あたりを散りばめたような科学と情念(単なる横恋慕ですが)のお話です。
その翌週の最終回が
「非行少女カオリ」(1972年12月25日放送)
最終回のネタが不良少女(万引き常習犯)の更正! えええ!?
特捜最前線と地方ロケ翌週の西部警察を足して割ったような人情話(写真一番下)。
いやあ、盛り上がるなあ(棒)。
特撮ドラマなのに、OPがイラストというのもある意味斬新。
音楽は渡辺岳夫(「巨人の星」「アタックNo.1」「キューティー・ハニー」「非情のライセンス」「影同心」etc)!
なかなかソフト化されなかった本作ですが、今夏とうとうBOXで発売されるそうです(7月12日にBOX-1、9月13日にBOX-2)。買う?