日本でもよく耳にする田舎暮らしの閉塞感。
知り合い・友人から話を聞くにつけ、“田舎で暮らそう”的スローガンが如何に悪質なプロパガンダのなか良く分かります。
歴史と因習が根底にある陰湿さ、というパターンもあれば、人もモノも出尽くして終わってしまった、というパターンもあります。
逆に、始まる気配すら見せない、という不戦敗な状況も…。
「レベルポイント」(1978年/ジョナサン・カプラン監督)
サンフランシスコ郊外の新興都市ニューグラナダ。
都会を捨てて郊外暮らし、を夢見て移住してきた人たち。が、都市計画は頓挫。遊戯施設建設予定地はいつまで経っても更地のまま。
子供たちの溜まり場は“センター”と呼ばれる掘っ立て小屋ただひとつ。
うちの近所にも“青少年地区センター”なるものがあります。卓球などが出来る体育スペースに囲碁・将棋が出来る会議室、簡易な図書スペース…老人ホームと何ら代わりない自殺したくなるような空間ですが、“センター”はもうただの休憩室。
毎日行く所がここと学校しかない…煮詰まらない方がどうかしています。
加えて警察の締め付けは日に日に厳しくなり、青少年指導の名の元に監視の目を光らせる…最早街そのものがひとつの監獄。
大人は大人で後が無い街運営に焦燥しきり。
娯楽施設は後回し、まずは街に金を落とす企業誘致が最優先。そのためには治安の確保、不良の一掃…絵に描いたような悪循環。遂には警官の拳銃が若者の命を…。
リリシズムなんて単語を使うのは曼荼羅畑初だと思いますが、どん詰まりの若者の抑えようの無い怒りを描いたリリシズム溢れる作品です。
手元のチラシを見ると“チープ・トリックのナウなロック・ミュージック”なんていう赤面しちゃう解説が。
1979年は2月に「グローイング・アップ」、4月に「ビッグ・ウェンズデー」、6月に「カリフォルニア・ドリーミング」、7月に本作、11月に「さらば青春の光」、12月に「ワンダラーズ」とホロ苦系青春映画の大豊作期でした(並べてみると壮観だな…)。
舞台は50’s~70’sのアメリカ、イギリス、イスラエル。郷愁と不安、反抗と挫折。ちょっと青春プレイバックな気分になりますね…。
★ご参考