天使編だったのか!? 009 RE:CYBORG
「それでもまだ、人類を、世界を、滅ぼすというのか?! 応えてもらいたい…神よ!」
『天使編』&『神々との戦い編』だったのか。
『誕生編』から始める事も出来たし、確実な感動が約束されている『地下帝国ヨミ編』を取り上げる事も出来たでしょうに、敢えて地雷を選択するとは。
「009 RE:CYBORG」(2012年/神山健治監督)
2013年。頻発する世界同時多発テロ(高層ビル爆破)。
3年ごとに記憶をリセットされ、27年も繰り返し高校生活を送っている島村ジョー。その耳に届く“彼の声”に従い、ジョーもまた自爆テロを敢行しようとしていた…。
いやあ、のっけから無茶苦茶な設定です。
“彼の声”に導かれて、人類をやり直そうとする者とそれに抗う者。
天使の化石を発掘中に消息を絶ったピュンマ。“彼の声”とは一体…。
運命に抗い、願いによって世界を再構築する、というプロットは「エヴァ旧劇場版」「まどか☆マギカ」がこれ以上無いであろうクオリティで映像化してしまったので、目新しさはありません。
神というストレート過ぎる存在は青臭さを助長していますし、“彼の声”に関する推測が全てハインリヒ(004)による口頭説明とイワン(001)らのディスカッションで終わってしまうので、真実に近づいていくサスペンスもありません。
御大石ノ森先生ですら、どうしていいか分からなかった未完エピをこんなお手軽に解き明かしてしまっていいのか、と観ているこっちが心配してしまいます。
案の定、賛否両論のようですが、お話はさて置き(置いちゃうのかよ)、以下の2点に関して本作は◎です。
其の壱:ハインリヒがフィンガー・マシンガンを撃つ際、薬莢が排出される。
其の弐:フランソワーズがエロい。
十分でしょ、これだけで。ジョーの加速装置の描写も良かったですね。
ぶっちゃけ脚本は駄目駄目ですが、当初監督するはずだった押井の構想は、
・ジョー、イワン、フランソワーズ以外の00ナンバーは全員死亡。
・イワンは脳移植されて犬になっている。
・フランソワは58歳
でしたから(もう、降板するために駄々を捏ねたとしか思えない)、それに比べれば遥かに元の話に忠実です。
川井憲次の音楽はいつもながらの素晴らしさですが、正直、全部同じに聴こえちゃうのが痛し痒し(パトレイバーと音楽交換しても全く違和感が無い)。
オリジナル楽曲のアレンジが全く顔を出さなかったのもちょっと…(「サイボーグ009」「戦い終わって」「誰がために」が1フレーズでも流れればオールドファンはそれだけで納得したと思います)。
仕切り直し第1作という立ち位置のようですが、続編作るんでしょうか。