デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

義体作ってGhost入れず。攻殻機動隊ARISE border1

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声優フルーツバスケットはいい。能力無き芸人が入っているわけではないし、ぶっちゃけこんなものは“慣れ”だ。

キャラデザは“これじゃない感”満開(特におでこパッツン草薙素子)だが、最終的には好みの問題なので善し悪しを論じても意味が無い。

これまでの攻殻(士郎版、押井版、神山版)の設定をまるっと無視しているのも、時間軸を遡った上にパラレル(だろ?)という特殊事情ゆえ致し方ないと割り切ろう。

ここまで妥協して尚、本作の魅力を掬い上げるのが困難を極めるのは何故か。

理由はひとつ(いや、みっつか)。脚本と演出と音楽が悪い。

攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」 (2013年/黄瀬和哉監督)

レギュラーメンバーの公安9課集結以前を描く4部作の1本目。

草薙素子はまだ陸軍501部隊所属の三佐。

海外から帰国した草薙は、上官であるマムロ中佐が兵器密売に関わる収賄容疑をかけられた上に娼婦の銃弾で殺害された事を知る。埋葬地ではマムロ大佐の墓を無断で暴こうとする者が。誰何すると、相手は公安9課・荒巻大輔と名乗るのであった。

冒頭の街の様子(特にビルのデザイン)観ただけで、作り手のやる気の無さがひしひしと。なんだよこの安いイメージ。こんな程度の近未来しか思いつかないんならSFなんかに手ぇ出すな。

アングルの撮り方が驚くほど凡庸。ここいらへんに三脚立てて、大体人間の目高でレンズは50mm…みたいな。

カット割りも同様。リズムの取り方が下手なのでなかなかお話にのめりこんで行けません。

台詞も、音楽も、お話も、何もかもが普通。キャラの掘り下げも保留。結果、印象に残るシーンも高揚感も無く、余韻ゼロ。

義体作ってGhost入れず。

何となく「マルドゥック・スクランブル」と同じ匂いがするな、と思ったら、脚本が同じ冲方丁(うぶかたとう)氏。

旧シリーズ(特に神山版S.A.C.)が如何にレベルの高い作品であったかを思い知らされる商業優先作品でした。