デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

未来を作れ! 攻殻機動隊 新劇場版

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『お前達全員に電脳がある。従うべきゴーストを持っている。

 それ以上を他人に望み、代わりに何を差し出す気だ?

 …未来を作れ!』

 

原作版、押井版、神山版に続く“第4攻殻”。プロローグとなったミニ・シリーズARISEは、個人的には残念無双な出来栄えでした。

 

劇場版もARISEの世界観を引き継いでいるので、正直あまり期待していなかったのですが、ARISEの戦犯(?)黄瀬和哉が総監督に退き、野村和也が監督に就いたせいか、“これはこれでアリ”な仕上がりに。

 

攻殻機動隊 新劇場版」2015年/野村和也監督)

 

ARISEとの違いは幾つかありますが、やはり草薙素子が単なる記号から人間(=キャラクター)に昇華された事が大きいと思います。

 

押井版、神山版の完全無欠な草薙に比べ、こちらの草薙はまだまだ未熟

 

『お前達は私が見つけた最高のパーツだ。パフォーマンスを発揮できないなら、いつでもパージしてやる』

 

指揮官たらんとして発した言葉も、「あれで俺たちに発破かけてるつもりなんだよ」と見透かされてしまいます。

 

圧倒的な能力で畏怖させるのではなく、“助けてあげたくなる”存在。

 

『俺たちを守るってんなら笑わせるぜ。パーツ呼ばわりするくせに』

 

『モノ呼ばわりはしても、モノ扱いはしてねえぜ』

 

首相補佐官に笑いかけたり、トグサにロボットなのでは疑われて、サンドイッチを親の仇のようにかじったり表情が豊か。


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『私はプログラムで笑ったことはありません、補佐官』(嘘付け)
 

ラストで押井版の冒頭(「あら、そう」「窓の外だ!…光学迷彩!」)に繋がり、


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義体変わってます。
 

更に、エンドクレジットの最中に神山版2ndGIGのラスト(桜の24時間監視)にリンクする構成はあざといですが、“繋がった”快感はなかなか。


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伴音に徹したコーネリアスの音楽は、身の程を知っているとも言えますが、やはり地味(私は音楽で盛り上げて欲しい派なのです)。

 

音楽差し替えたら相当印象変わると思いますが、そこいら辺差し引いても見応えのある作品でした。


おまけ
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この短髪襟立て勘違い女議員はどう見ても…。

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