ギャレス・エドワーズ監督の「GODZILLA」が間もなく公開。一応、1作目と地続き設定のようなので、この機会に先送りにしていた1作目BDを買おうかな、と。
東宝版とクライテリオン。どちらを買うか悩んだのですが、クライテリオン版にして大正解。
ある意味、アメリカという国の真摯さと懐の深さを再認識しました。
「GODZILLA[クライテリオン版BD]」(1954年/本多猪四郎監督)
最初の動機は完全に“ジャケ買い”。
炎の中を進撃するゴジラの後姿。そのかっちょ良さに痺れました(申し訳ないですが東宝版のジャケは酷い。センスゼロ)。
スリーブから出して開くと“飛び出す絵本”仕様(上の写真参照)。そこまで愛してくれたかクライテリオン。
ブックレットのデザインも渋い。しかし、本番はここから。
ディスクを挿入するとメニュー画面に“SUPPLEMENT”の文字。なんじゃらほいと思ってクリックすると“映像特典”と思しき項目がずらずらと。
そのトップに位置しているのが「GODZILLA KING OF THE MONSTERS」。
おお、アメリカがレイモンド・バーとか言う大根役者使って勝手に追撮・再編集したUSゴジラがデジタル・レストア版でフル収録されているではないか。
追撮しているにも関わらず、トータルランニングタイムが17分も短くなっているという不思議仕様ですが、妙な味わいがあって嫌いじゃありません。
オリジナルと見比べれば、US版の蛮行と言っていい横暴さが鮮明になってしまうにも関わらず敢えてダブル・フィーチャーにする勇気に敬意を表したいと思います。
他にも宝田明や中島春雄、伊福部昭らのインタビューが盛り沢山に収録されているのですが、特に目を引いたのがフォト・エッセイ「The Unluckiest Dragon」。
何と、「ゴジラ」にインスパイアを与えた“第五福竜丸(Lucky Dragon No.5)事件”が豊富な資料写真と共に丁寧に語られているのです。
ちゃんと“Shi No Hai, Death Ash”にも触れています。久保山愛吉無線長をはじめとした船員の被爆した姿もきっちり。
新藤兼人監督の「第五福竜丸」もポスターで紹介。
まだ戦争は終わっていない。核の恐怖も去っていない。しかもアメリカは加害者。しかし、この時代背景を抜きにして「ゴジラ」を語る事はできない、という真摯な姿勢。
これだけのコンテンツを詰め込んで約3,000円。
ソフトを世に送り出す製作者の矜持のようなものを感じました。
リージョンはAで国コード無し。日本のデッキで普通に再生できます。ゴジラ買うならクライテリオンです。