「ひやみっつな」
「はい、お冷みっつお願いしまーす」
「は~い、コーヒーみっつ、よろしくどうぞ!」
「カツカレーみっつな。よしゃ、分かった」
都会ならただのぼったくり喫茶ですが、下町の商店街だとこれが人情に見えるから不思議です。
「それでも町は廻っている[北米版DVD-BOX]」(2010年10月-12月放送/新房昭之総監督)
東京都大田区の下町、丸子。
喫茶シーサイドのマスター、磯端(いそはた)ウキ(年齢不詳だがとにかく婆さん)は閃いた。
「巷じゃメイド喫茶って奴が儲かっているらしい…」
手作りのメイド服に身を包んだウキと過去10年分のタダ喰いカレー代をチャラにする代わりに店を手伝う事になった女子高生、嵐山歩鳥(あらしやまほとり)。メイド喫茶シーサイドの完成です。
要するに関係者全員がメイド喫茶というものを理解していなかったんですね。
このメイド喫茶に集う面々、歩鳥と愉快な仲間たちのゆる~い日常。
宇宙人や死後の世界という一般的には“非日常”なファクターもここでは日常の一部。
歩鳥の中の人は「生徒会役員共」柔道部部長の三葉ムツミと同じ人(話し方もほぼ一緒)。
決して「巧い!」という類の人ではないのですが、キャラにどんぴしゃ。数学のみ万年補習、ノリと勢いは人一倍、天然ドジでありながらしっかり者のお姉さんでもある…原作組はまた違った感想を持っていると思いますが、アニメから入ると彼女以外の声はちょっと思いつきません。
歩鳥に想いを寄せる幼馴染の真田くんが抱える青春の悶々が、とってもリアル。
通学バスの中で眠った歩鳥が肩に頭を預けてきたために下車できず、そのまま終点まで行ってしまい、見知らぬ街をふたりで探検(学校はバックレ)する第7話Aパート「愛の逃避行」は微笑ましくて大好きです。
第7話はBパートに、歩鳥が弟・猛(たける)を深夜の町に連れ出す冒険譚「ナイトウォーカー」が入っており、併せ技でイチオシの回となりました。
シーンのブリッジ毎に登場して脈絡のないつぶやきを発する嵐山家のペット、ジョセフィーヌ(犬という事になっていますが、どう見ても狸)が良いアクセント。
「ケアレスミスとエアロスミスは似てるポコ」はちょっとツボでした。
OP曲は懐かしや「俺たちひょうきん族」ED「DOWN TOWN」。アニメ担当は梅津泰臣。
EDはサエキケンゾウさんだし、スタッフ結構豪華。
北米版DVD-BOXは、全12話をDVD2枚に収録して3,500円前後。