デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

乙女マイケルの謎。 ハロウィン[1978]

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ちと気が早いですがハロウィン1978年/ジョン・カーペンター監督)のお話を。

 

実は予てより気になっている1枚の写真があります。

 

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↑それは両手で花を捧げ持つマイケルのスナップ。

 

上半身のかすかな前傾具合といい、腰のひねり具合といい、実に乙女チックです。

 

周囲の状況から判断して、ストーキング・マイケル・シーンの前後あたりだと思われますが、はて、そんなシーンあったかしら。

 

▼多分、このシーンか

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▼このシーンの前後
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この写真、かつて流通していたVHSビデオのジャケ裏にも掲載されており、ある意味“オフィシャル”なカットなのですが実態が掴めません。

 

ひょっとしてVHSには別バージョンが入っているのかも、と思って中古テープを購入した所、確かに中身は別バージョン(米国TV放送版。残酷描写カットしたら尺が足りなくなったので病院シーンとか日常シーンとか撮り足して水増しした“柔らか仕上げ”)でしたが、当該シーンは存在せず。

 

後に発売された「劇場公開版」にも「エクステンド・バージョン」にもこのシーンはありませんでした。

 

アウトテイクだったのか、ふざけて撮ったスナップ写真だったのか。

 

謎は深まるばかりです。

 

さて、作品としての「ハロウィン」ですが、よく観ると直接的な殺しのシーンがほとんどありません。あるのは殺人という記号のみ。

 

月夜に照らされてお姫様抱っこした女性を運ぶマイケルの遠景とか、ホラーと言うよりは怪奇と幻想の世界です。

 

そのくせ、生垣に佇むマイケルとか洗濯物の影から2階を見上げるマイケルなど何気ないワンカット(+御大作曲傑作テーマ)で確実に恐怖を盛り上げる精緻な作り。

 

画面の感情に合わせてドリーと手持ちを使い分けるなど、シネマスコープを熟知した絵作りに感心します。

 

80年代以降の即物的ホラー(これはこれで面白い)とは一線を画するカーペンターの“恐怖感覚”をご堪能ください。

 

※個人的にマイケルは“出オチ”キャラだと思っています。“何かがいる、来る!”という感覚が怖い(楽しい)のであって、惨劇が始まってしまうと“終わった”感が強くなってしまうんですね。

 

※英国TOTALFILM「ハロウィンの恐怖シーン13選(13 Creepiest Halloween Movie Moments)」を発表しています。ご参考まで。

 

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