プロレス者としては現役引退(?)しているので最近の格闘事情にはトンと疎くなっておりますが、“世Ⅳ虎vs安川惡斗”の陰惨マッチはちと気になりました。
女子プロレス団体「スターダム」の後楽園ホール興行(2015.02.22)に於けるワールド・オブ・スターダム選手権試合「王者・世Ⅳ虎(よしこ)vs挑戦者・安川惡斗」。
仕掛けたのは安川。開始早々顔面パンチ(本人の弁によれば、首を狙ったロシアン・フック)。応戦する形で世Ⅳ虎もナックル。
同じ鉄拳でもふたりの体格差を考えると1発の重みが違います。ボクシングがウェイト制をとっている理由がよく分かります。
後は世Ⅳ虎がマウントをとって一方的に顔面連打。途中、和田京平レフェリーが二人を分けてインターバルをとりますが、流れは変わらず。
気が付けば安川の顔面が完全崩壊。リング下にエスケープした安川の顔を見た和田の「あ、ヤバイな」というリアルなつぶやき。
結局、若手にタオル投入を促して世Ⅳ虎のTKO勝ちに。
安川は病院に直行。頬と鼻、左眼窩底など複数個所を骨折。
さて、女子プロでシューティングと言えば、神取忍vsジャッキー佐藤。
1987年7月18日、神奈川県大和車体工業体育館に於けるジャパン女子プロレス興行。
前田vsアンドレと並んで永らく映像を渇望してきた試合ですが、何とtubeにアップされておりました!(マジびっくり)。
どんな喧嘩マッチだったのか、と乗り出して観ましたが、これはギリギリでプロレス。
最初は首四つ、手四つの体勢からバックを取り合い、腕ひしぎ逆十字に繋ぐストロングスタイル。
先に手を出したのは神取。いきなりの顔面パンチ。さらに連打。「殴ってみろ」と顔を差し出すジャッキーに「お言葉に甘えて」とばかりに拳を叩き込む神取。
戦意喪失気味のジャッキーにアンクル・ホールド、アキレス腱固めと畳み掛け、最後はチキンウィング・アームロックでギブアップ勝ち(ジャッキー佐藤生涯唯一のギブアップ負け)。
「あの試合のとき、考えていたことは勝つことじゃないもん。相手の心を折ることだったもん。骨でも、肉でもない、心を折ることだけ考えていた」(神取忍)
事のいきさつは近くのプロレス者に聞くかググッてくださいませ。決して神取が勝手に仕掛けた喧嘩マッチではなく、互いに納得した“そういう試合”だったのだと思います
※いつ消えるか分からない貴重な映像はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=VuNjIVD5TDc
これ観た後に“世Ⅳ虎vs安川惡斗”を観ると、ちょっと悲しくなりますね。
技術、気迫、レスラーとしてのオーラ、エンターテイナーとしての自覚、何もかもが稚拙。
因みに、この試合、安川の主演映画公開のプロモーションも兼ねていたみたいです。
映画、と言っても安川のドキュメンタリー(タイトル「がむしゃら」)ですが。
予告観ましたが、安川って人、結構な業を背負っていますね。
予告にインサートされる言葉が“いじめ”“レイプ”“解離性人格障害”“自殺未遂”“バセドウ病”…。
映画の存在すら知らなかった私の耳にも届いたくらいですから、パブリシティとしての効果は絶大だったかもしれません。しれませんが…。
映画「がむしゃら」公開は3月28日~イメージフォーラムにて(モーニング&レイトショー)。御見舞い兼ねて宣伝しておきます。