
このDVD、かなりお買い得な内容で、前田対アンドレ戦の他に出戻りUWFが猪木への挑戦権を賭けて潰しあった藤原対前田戦、そして一夜にして前田を格闘王の座に押し上げた異種格闘技戦、ドン・中矢・ニールセン戦などが収録されております。
このDVDの副読本とも言えるのが、
これがヤバイ。何がヤバイって超ヤバイ。
『(猪木との対戦権を賭けたリーグ戦は)俺が勝って猪木さんとやる予定だったんだよ。最後、藤原さんと闘ったんだけど、当日になって変えられちゃったんだよ。たぶん坂口さんか誰かが心配して変えたんだよね。それで「悪いけども藤原にしてくれ」って』
で、パラパラ読み進めていくと、出ました “俺がルールだ” ミスター高橋。
試合を取り巻く状況にまでストーリー捻ってたんか。アニメで言えば「シリーズ構成・脚本/ミスター高橋」って感じでしょうか。
『前田は勝ち負けについても、うるさく言うタイプではなかったです。私が彼を、次世代のエースだと思っていたぶん、あまり負けさせることがなかったのもたしかなんですけど、たまに負けさせなきゃいけないとき、「前田、今日寝てくれる?」と言うと「あ、いいですよ」と快諾してくれました。マッチメイカーである私にとっては一番と言っていいくらい、扱いやすい選手でしたね』
これ、純真純朴なプロレスファン(いるのか?)にとってはショックな内容かもしれませんね。
ニールセンも『前田との試合は“リアル・ビジネス・ファイト”だ』と証言。
リアル・ビジネス・ファイトってのは勝敗は決められていないけど禁じ手があった、という事。この場合の禁じ手とは“前田をKOしてはならない”。
打撃系の格闘家にとってKOを封じられたって事は勝ちを放棄したに等しいと思うのですが、ビジネスの世界は奥が深い。
とまあ、これだけの話を並べられても、何故か「昭和のプロレスが面白い」という信念は揺るぎません。人の感情とは不思議なものです。