デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

どんな時でもまず挨拶。 緋牡丹博徒 花札勝負

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「親分さんに不本意なお願いがあって参りました。渡世上、親分さんに恨みつらみは一切ございませんが、のっぴきならない義理で命を頂きに参りました
 
挨拶の主は高倉健。気色ばむ子分たちを制した親分は嵐寛寿郎
 
筋の通った挨拶をしているお人の前で不躾な真似はやめな。俺も西之丸だ。黙って斬られる訳にはいかねえ。勝負は運否天賦だ。どっちが倒れてもこの場限りにしようぜ」
 
そう。どんな時もまず挨拶。それが命のやりとりであったとしても正しい挨拶から入れば清廉な儀式に。
 
「緋牡丹博徒 花札勝負」1969年/加藤泰監督)
 
山下耕作鈴木則文と来て加藤泰がバトンを引き継いだシリーズ3作目。
 
緋牡丹のお竜(藤純子。現:富司純子)が線路脇を歩いてくる遠景を捉えた冒頭から「穴掘ってカメラ埋めたんかい!」なローアングル炸裂。
 
所は名古屋。西之丸一家の玄関先で一言一言噛んで含めるような仁義を切るお竜さん。それをきっちり終りまで聞いて仁義を返す西之丸一家の若造。


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挨拶の様式美ですね。
 
お話は熱田神宮勧進賭博を巡る西之丸一家と金原組(組長:小池朝雄)の抗争に巻き込まれたお竜さんと流れ者の渡世人・花岡省吾(高倉健)。


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西之丸一家六代目親分・杉山貞次郎を演じる嵐寛寿郎が渋い。
 
「金原の、俺たちは無職(ぶしょく。渡世人の事。むしょくではない)だぜ。無職は無職らしく、その武運を守ってこそ、お天道様も目をつぶってくださるってもんだ」
 
突然乱入して場をさらう四国道後の熊坂虎吉親分(若山富三郎)、大阪堂万一家親分・お神楽のおたか(清川虹子)など脇も充実。
 
健さんを見てしまうと、文太じゃちょっと軽いかな、という気になりますね。


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この話の後日談が第6作目(加藤監督2作目)の「緋牡丹博徒 お竜参上」になります。

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