デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

折れない負けない挫けない。 脱獄広島殺人囚

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“殺人未遂 4年追加” 『…これは安かった

 

大小重ねてコツコツと。最長刑期417ヶ月

 

“犬か猫になってもいい。俺は<シャバ>に出たい”という力強い惹句がピタリと嵌る“脱獄バカ一代”。松方弘樹物語。

 

「脱獄広島殺人囚」1974年/中島貞夫監督)

 

タイトルから連想するような殺伐さはありません。あるのは折れない負けない挫けない生命力と自由への渇望。

 

企画当初のタイトルは「脱獄広島刑務所」。これが法務省からのクレームで変更になったんだとか。

 

脱獄×刑務所という組み合わせがマズかったようですが、翌年「暴動島根刑務所」が公開されたって事は、暴動×刑務所はOKという事か。暴れてもいいけど逃げちゃ駄目。分かりやすいな、法務省

 

昭和22年、殺人罪20年の判決を受けた植田正之(松方弘樹)は、特技脱獄、趣味脱獄。

 

中庭にある独居房“お稲荷監房”の建て付けが古いと見るや、即大暴れして入居権確保。

 

6時間掛けて手錠を壊し、便器を砕き、腰骨削って大脱走


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以降、脱獄→間抜けな理由で再逮捕→刑期加算を繰り返します。刑期加算テロップが何度も踊る様はもはや笑うしかありません。

 
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これが実話ベースというんだからもう…。

 

線路内を大根丸かじりしながらふてくされたように歩くラストシーンの見事なぶったぎり感。潔さに惚れ惚れします。「仁義なき戦い」とは一味違うアナーキーの極北。

 

人生賛歌と言っていいと思います。


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