『ここで何をしている?』
『ここにあろうとしている』
『ここは立ち入り禁止区域だ』
『私ははじめからここにいる』
『お前は何者だ?』
『あなたが思う何者でもある』
禅問答ですね。
『あなたの考えが、この星に侵略者を呼び寄せ、命を奪い、破壊を行っている』
平成ウルトラセブンシリーズは今ひとつ食指が動かなかったのですが、“神戸港に沈んだキングジョーをサルベージして軍事兵器としてリサイクルする”という発想が面白そうなので、特撮封印の禁を破ることにいたしました。
「ウルトラセブン1999最終章6部作(5)模造された男」(1999年/高野敏幸監督)
本シリーズの裏主役といえるのが地球防衛軍・カジ参謀(影丸茂樹)。
彼が推進する積極的排外的防衛政策「フレンドシップ計画」を中心に防衛軍上層部、ウルトラ警備隊、軍需産業、そしてモロボシ・ダンの思惑が交錯していきます。
人間の意思を具現化する古代ムー帝国の石碑。その石碑に本心を読み取られてしまうカジ参謀。制御不能となって暴走するキングジョー。
「ウルトラ警備隊西へ」リスペクトなアングルにグッときます。
CGによる高速分離・高速合体は賛否あるかもしれませんが、これはアリでしょう。
アイスラッガー4連打(一部破損!)の末の勝利。
“あの”キングジョーを扱うことができる…スタッフの気合が入りまくっているのが伝わってきます。
ただ、突っ込み所もあちこちに。制御信号を受け付けなくなったキングジョーを前に、
『仕方ない。電源を切ろう』
『そんな事をしたら、今まで入れたデータまで全部吹き飛びます』
待て待て待て。バックアップは? 君ら何日もメモリにだけ入力していたのか? で、電源スイッチがそれ↓? ブレーカーボックスにあるような奴が操作ボードの上に剥きだしで? ありえねー!
あとこれは慣れの問題だとは思いますが、みすず児童合唱団とジ・エコーズの歌唱が馴染んだ耳に佐々木功のピンボーカルは違和感無限大。
エンディングのバラードもこの人が歌うと全部「真っ赤なスカーフ」になっちゃうからどうにもこうにも。
特撮とアニソンって親和性ありそうに見えて実は全く別の世界の文化なんじゃないでしょうか。