不気味なドクロマークを背景にコンボイの如くハイウェイに連なるバイカー軍団。
公開時の煽り文句が、“カワサキが、ノートンが、BMWが怒る! 今始まる復讐の大暴走!”
これでタイトルに「マッド」と付けば誰もがマックスの親戚筋の映画だと思うでしょうが、この流れで観てはいけません。
アクション映画としては実に凡庸。しかし、オーストラリア産ニューシネマだと思えば実に味わい深い作品です。
「マッドストーン」(1974年/サンディー・ハーバット監督)
日本公開は製作7年後の1981年。この間に「マッドマックス」が生まれてしまったのが不運でした(もっともマックスがなければ公開もされなかった可能性大ですが…)。
環境破壊を続ける大企業とそれを容認する政府を糾弾していた政治家が講演中に射殺された。
偶然、スナイパーを目撃したのは暴走族“墓堀軍団”のメンバー、ガマ蛙(今ならそのままトードと表記するでしょうが、ここは親切字幕で。因みに役者は後のトーカッター、そしてイモータル・ジョーのヒュー・キース=バーン)。
ガマさんはヤクでヘロヘロでしたが、やっべ顔見られた!と思った暗殺者グループは墓堀軍団を無差別攻撃。
仲間を埋葬するための葬送パレード。
仲間を殺された墓堀軍団はリベンジモード全開。そこにやってきた刑事ストーン。
今回の事件の裏に某かの組織的関与があると睨んだストーンは身分を明かした上で墓堀軍団に入団希望(身分を明かしているので潜入捜査ではないですね)。
『ポリ公と一緒に走るなんて冗談じゃねえ!』というメンバーでしたが色々あって『お前、なかなかやるじゃん』で仲間入り。
左端が後のトーカッターさん、眼帯の人が後のナイトライダーさんですね。
この過程といつしかストーンが抱く墓堀軍団へのシンパシーが本作のキモ。
復讐とか犯人逮捕とか完全におまけ。作り手も『ぼちぼちオチつけないと終わんねえな』と思ったのか、終盤一気に巻いて無理矢理〆。
互いに共感しつつも、所詮ポリはポリ、族は族というほろ苦さもニューシネマな手触りでした。