1972年、世界的大ヒットを飛ばした2本の映画「ゴッドファーザー」と「ドラゴンへの道」。翌73年には「燃えよドラゴン」が公開されて空前のドラゴンブーム到来。
これを黙って見ている香港映画界ではありません。
イタリアンマフィアvs香港クンフー・スターinローマ。
「無敵のゴッドファーザー/ドラゴン世界を征く」
(1974年/ウー・スー・ユエン監督)
ウー監督は後に「ブルース・リー/死亡の塔」を撮る人です(いやまあ、だから何って訳じゃないのですが…)。
麻薬組織の依頼で各国インターポールの麻薬捜査官を殺していくイタリアンマフィア。しかし、香港に放った刺客は偶然居合わせたクンフー・スター(ブルース・リャン)に阻止されて未遂に。
くっそー、このままではマフィアの面子が…。よし、そのスターを高額ギャラで釣ってローマに連れて来い! ぶっ殺してやる!
いや、何でそんな手の込んだ罠を張る必要が…。
そんな事情は露知らず、やってきましたブルース・リャン。ローマにいる兄が「ここは危険だから明日、香港に帰れ」とアドバイスしてくれますが、翌朝には惨殺体。
くっそー、よくも兄を!と復讐を誓いますが、舌の根も乾かぬうちにコロシアム観光でご満悦。なぁ、身内が死体で発見された当日に観光はないだろ。警察は1カットも登場しないし。
相手が殺しに来ているのだから仕方ないといえば仕方ないですが、リャンさん刺客を片っ端から返り討ち。それも蜂の巣にしたり暖炉に突っ込んで燃やしちゃったりとやりたい放題(同じ年に「ボルサリーノ2」が作られていますが偶然ですよね)。
もうどっちがマフィアか分かりません(その後も現地警察は一切介入無し)。
で、保険会社の女と映画女優との三角関係とか、どーでもいいエピを挟んでクライマックスは倉田保昭先生(マフィアのボスの養子)vsブルース・リャンの名勝負数え歌。
道のド真ん中で立ち回りを始めますが、道行く人はノーリアクション。
まず観光地を背景に組み手を披露し、頃合を見計らって倉田先生が走って逃げる。別の背景でもうひと手合わせ。また逃げる、追う、新しい背景で試合再開。
これを何度も繰り返します。そして、気がつけば大雪原。
う~ん、ローマの地理には詳しくありませんが、君らこのひとつ前のカットでは街中で戦ってたよね。ローマってのは市街地をちょっと走っただけで大雪原に出ちゃうのかい?
倉田先生を倒したリャンはラスボス戦へ(物凄い蛇足感)。
ブルース・リャンのその後(31年後)の姿は「カンフーハッスル」で拝む事ができます。