
他にも色々突っ込み…じゃない見所はありましたが、人喰い虎のインパクトには敵いません。
倉田保昭の初主演作にして清水健太郎のデビュー作ですが、間違いなく主役は虎(名前はシーザー)。
「武闘拳 猛虎激殺!」
(1976年/山口和彦監督)

メキシコ帰りの謎の武闘家、竜崎鉄次(倉田)。竜崎の目的は父と兄を殺し、父が見つけた金塊を独り占めにした吉羅本伝造(石橋雅史)を見つけ出し復讐する事。
吉羅本は武闘空手をスポーツ興行として盛り立てていこうと画策しており、唐木誠(矢吹二朗)をスターに仕立ててブイブイ言わせておりました。
空手の興行…ありましたね。70年代の半ば、フジテレビが放送しておりました。私の記憶が確かなら番組名は「エキサイティングプロスポーツ THE空手」だったかと。
この全日本プロ空手協会を興したのが、竜崎に対する刺客・根切達也として登場する大塚剛なのですが、それはまた別の話。

左が全日本プロ空手協会会長、日本実践空手道連盟会長にして神経リハビリ双極療院院長の大塚剛。にしても何でそんな所で…。
竜崎は唐木の噛ませ犬として八百長試合のリングに上がりますが、知った事かとばかりに圧勝。
唐木の「空中二段蹴り」、竜崎の「疾風後ろ回し蹴り」「ドラゴン!電撃矢車蹴り」といった技がドドーンとテロップで出ますが、どういう技なのかは分かりません。
ま、何か今凄い技が出た、くらいの記号として認識して頂ければ、と。

吉羅本はどこぞのお城をショッカーの秘密基地のように改造し、多数の戦闘員と妙な武闘家たち、フラメンコダンサーと虎に囲まれて暮らしておりました。

妙な武闘家というのは、「騎馬民族直伝拳法 宍川鉄拳」とか「カトマンズ拳法紅河流 張犬鬼」とか「沖縄古武道鎖鎌 猪股心軒」とか以下略。

ここだけ見るとブルース・リーよりもジミー・ウォングの影響が強いのではないかと思えてしまいます。
こいつらを打ち破りつつ、城の最上階を目指すのですが、「死亡遊戯」が公開されるのは2年後の78年。ひょっとして先取りか?
最上階で待っているのは勿論、虎。
撮影は全てこの虎、シーザーのご機嫌次第だったそうで。VIPですね。一瞬「着ぐるみ?」なカットがあるのですが、その日はシーザーの虫の居所が悪かったのでしょう。

“肉を斬らせて骨を断つ”ならぬ“腕を噛ませて地獄突き”な戦法はシーザーに通じるのか。是非皆さんの目でご確認ください。