公開当時に見逃して、以来(駄目駄目という世評を耳にしつつも)観てみたいと思っていた作品をようやく観ることができました。
「クラッシュ!」
(1976年/チャールズ・バント監督)
自動車事故に憑りつかれた男女の話でも差別にまつわる群像劇でもありません。
夫に殺されかけた妻が魔神像の力を借りて無人のカマロを疾走させ復讐するお話です(ちょっと無理矢理ですが「メドゥーサ・タッチ」と同じ箱)。
チャールズ・バントという人は監督作こそ数本ですが、「デビルズ・ゾーン」の製作、「異次元へのパスポート」「フロム・ビヨンド」「ドールズ」「プリズン」の製作総指揮なんかを手掛けている“こっち側”の人。
嫉妬と妄執から妻を殺そうとする夫マークにホセ・ファーラー。運の悪い妻キム役にスー・リオン(本家ロリータじゃないですか!)。
OPの黒味の長さ(アバンの後なのにクレジットがなかなか出ない)や、キムがフリー・マーケットで魔神像を手に入れるまでの間延びしたテンポに不安感フルスロットル。
マークは車椅子生活を余儀なくされており、その原因がキムにあるようなのですが、詳しい経緯はまるっと割愛。
中途半端に時間軸をいじった編集になっているので、最後に時計の針が合致するまで話の整合性がつかずに大混乱。
お話が回りだすのが魔神像の正体である“赤き星の神”がキムに憑依するあたりから。
無人のカマロが広がりたいだけ広がる荒地しかないロサンゼルス郊外を大暴走。行き交う民間車とパトカー巻き込んで横転絵巻。
車はちょっと転がっただけで即爆発。パトカーなんかバリケード突破されただけで大爆発。西部警察のお株を奪う追突と爆煙のサンバ。
一応、マークの奸計で事故を起こし重症を追った(一命はとりとめたものの記憶を失ってしまった)キムをマークが再び殺そうとするサスペンスも盛り付けてあり、それなりに魅せてくれます。
後半、時間軸を合わせる時に前半のクラッシュシーンを使いまわして水増ししているのが難点ですが、せっかく撮ったクラッシュ&エクスプロージョン、何度も見せたいと思うのは人情。「わー派手なシーンが何度も観れてお得ぅ」くらいに割り切るのが吉でしょう。
本作の翌年に「ザ・カー」が製作されています。