デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

カーペンター愛に咽ぶ…。 イット・フォローズ

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『昔、親から8マイル通りを越えるのを禁止されてた。当時は理解できなかったけど、あそこは郊外と都市の境界線だったのね。でも馬鹿みたいって思ってた。だって大人が一緒でも境界線を少し越えるだけで親の許可がいるんだもん』

 

怖いか怖くないかで言えば怖くはない。この時点でホラーとしては失敗なのかもしれませんが、そんな表層的な理由で切り捨てるのはちと惜しい。

 

「イット・フォローズ」

2014年/デヴッド・ロバート・ミッチェル監督)

 

“それが見えたら終わり”というサブタイは本作の方が相応しいような気がします。

 

ジェイ(マイカ・モンロー)が彼氏とのカーセックス後に告げられた衝撃の告白。

 

『あるモノがつけて来る。俺が感染したそれをさっき車の中で君に移した。それは時には知人に時には他人に姿を変える。なるべく早く誰かと寝て相手に感染させろ。君が殺されると俺に戻ってくる。常に逃げ道を確保しろ。動きは遅いが頭はいい』

 

感染した者にしか見えない何かが、ゆっくり近づいてくる。つかまったら殺される。その“呪い”はセックスをすることで他人に引き継がせることができる。ただし、引き継いだ者が殺されたら、ひとつ前の“債権者”が再度繰り上げ当選になる。

 

要するに「リング」のビデオをセックスに置き換えた感染モノです(但し、呪い=性病のメタファーという図式は監督が明確に否定している)。


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それは男だったり女だったり子供だったり老婆だったり半裸だったり全裸だったり。
 

このプロットが巧いことホラー演出に転化されていれば言うこと無しなのですが、作り手側はもちっと別の視点を持っていたようで。

 

「白痴」やT.S.エリオットの引用、親との関係性など大人になるという成長過程を捉えた青春モノとしての見方が正解かと。

 

このホラーとも青春モノとも言えぬ中途半端な立ち位置が中盤の中だるみと終盤のグダグダ感を後押ししているのですが、それでも捨てきれないのはそこかしこに溢れるカーペンター愛ゆえ。

 

住宅地の雰囲気、どこも同じと言ってしまえばそれまでですが、佇まいとカメラワークがハドンフィールドを思わせます。


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主人公の名前ジェイはジェイミーの短縮形。妹の名前はケリー。ジェイミー・リー・カーチスとケリー・カーチス(「デモンズ4!)の姉妹リスペクト。

 

幼馴染の男友達ポールが見ているのがクラシックSF(「宇宙からの暗殺者」「火を噴く惑星」)というのも「ハロウィン」テイスト。


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画面の奥から何者かがゆっくりと近づいてくる構図は「マウス・オブ・マッドネス」

 

重低音リフレイン系の音楽や最後の「ここで切るか!?」なぶった斬り方にもカーペンター愛が溢れています。

 

効を奏していたかと言われると「う~む」なのですが、この手の思い入れには弱いので「合格」とします。



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