コロンビア内戦に翻弄される父と息子。芽生えた淡い恋心も戦禍の渦に巻き込まれ…
という観る前から感動を約束(強制?)されたようなお話なのですが、平和ボケした頭には今ひとつピンときません。
何せこちとらコロンビアと聞いてもコーヒーとコロンビア・ネクタイしか浮かばない偏差値貧乏野郎です。
せめて「サルバドル/遥かなる日々」くらいのパンチ(トンチではない)が効いていないと刺さるものも刺さりません。
「ケシ畑の小さな秘密」
(2012年/フアン・カルロス・メロ・ゲバラ監督)
まずもって時代設定が分かりません。
内戦の一方の主役FARC(コロンビア革命軍)が誕生したのが1964年。2017年に武装解除するまでやんちゃを繰り返す左巻きゲリラです(本作の製作が2012年なのでMAXここまで)。
対するAUC(コロンビア自衛軍連合)が結成されたのが1997年。麻薬組織と結託している民兵組織です。
なので時代設定は1997年~2012年の間ということになります(ざっくり“現代”って事でいいのかな)。
で、お話。ゲリラ寄りと看做されて民兵から追われる破目になったエミリオがひとり(生き残った)息子のシモン連れていとこの家に逃避行。
しかし、そこは既にもぬけの殻(家の壁には「密告者は出て行け!」の文字)。
町に出て仕事を探しますが、あるものと言えば不法栽培のケシ畑就労のみ。
シモンは近所の女の子、ルイーサと心通わせますが…。
ゲリラによる無差別テロ、民兵による見せしめ報復、森の中の地雷原、精製後麻薬を(サイモンを利用して)くすねようと画策する知人、どこをとっても「嫌な予感」の佃煮です。
終りの見えない内戦、故国を捨てねばならなくなる焦燥、時折挿入される自然描写の美しさ。
特に原色を解き放ったようなケシ畑に天使の羽の如く降り注ぐ除草剤とかこの世の物とも思えぬ美しさ。
でも何故でしょう。全く刺さってこない。
ヒロインの少女、美人ですが出てきた瞬間「あーこいつ厄ネタだ」。
内戦の緊迫感も麻薬精製の現場も何か絵空事っぽくて。
「魔女と呼ばれた少女」の時も思いましたが、現在進行形のお話を子供目線でファンタジーにしちゃうのは抵抗がありますね。
★ご参考
★コロンビア・ネクタイについて知りたい人はこちら
★内戦の緊迫感を味わいたい人はこちら。
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