家モノ(特に年季の入った洋館モノ)は大好物なのですが、やはりそれなりの工夫は必要。雰囲気だけで押しきられるのはちょっと…。
「ダーケスト・ウォーター」
(2017年/ブライアン・オマリー監督)
1920年のアイルランド。広大な土地(湖含む)の中に佇む邸宅。住んでいるのはレイチェルとエドワードの姉弟ふたりだけ。
この館で暮らすに際してのルールは3つ。訓えはマザーグースのような歌に乗せて先祖代々親から子へ…。
- ♪0時の鐘が鳴る前にベッドに入りなさい。
- ♪よそ者を家に入れてはなりません。
- ♪ふたりは離れてはいけません。
歌の締めくくりは“♪ふたりの血が私たちだけのものである限り、わたしたちは下から見守ることでしょう”
一種の契約信仰ですね。ある意味「悪魔の手毬歌」以上に恐ろしい内容です(特に〆の部分)。
ルールを守っているうちは守ってやる(と言うか生かしておいてやる)。しかし、もし破ったら…。
ふたりの両親は1年前に湖で入水自殺。その両親も。そのまた両親も…。
弟エドワードは神経病んで家から一歩も出られない引きこもり。
姉レイチェルは兵役から(片足失くして)戻ってきた雑貨屋の息子ショーンと駆け落ちを画策しますが…。
初期設定はまずまずです。邸宅も実在する年代物を使用しているだけあっていい雰囲気。
でもそれ以外が壊滅的に駄目。ランニングタイム93分ですが、マトモに撮れば30分で終わります。
何故、先祖代々呪いに縛られているのか、何故、最後には皆入水自殺(ふたりの両親に関しては無理心中)を選んでしまうのか。個々のルールを破るとどのような災いが起きるのか。何の説明もありません。
最後の方で床下(鏡に映したような屋敷が水没している)から、変な人たち(ご先祖様軍団?)がわらわらと湧いて出ますが、こういう裸で黒目で這って来るタイプはおなか一杯ノーサンキューです。
よみうりランド/近藤玲子「水中バレエ劇場」…ではない。
重力を無視した水の描写とか凝っているつもりかもしれませんが、こんなの40年以上前にタルコフスキーが「鏡」でやっているしなぁ。
この手のオチって「愛は呪いを砕く」なお花畑エンドか「それで勝ったと思うなよ!」なバッドエンドの2択だと思うのですが、本作は「なんじゃそりゃそりゃ」な反則エンド。うーむ、それで済むならとっとと…。
お話のモチーフは「アッシャー家の崩壊」らしいのですが、だったらこの屋敷使って「アッシャー家~」作ってくれた方が良かったかな。
ちょっと「仄暗い水の底から」とか、伊藤潤二コレクション「橋」に似た手触りもあって、色々惜しい作品ではありましたが、やはりゴシックホラーとしてはネジの締め忘れが目立つ失敗作だと思います。
★ご参考
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★本日1月24日は「ボーイスカウト創立記念日」
1908年(明治41年)のこの日、イギリスでボーイスカウトが結成された…んだそうです。
ボーイスカウトと言えば…