『このままではあと20分で武蔵が浦賀水道に侵入する!』
『タマちゃん。武蔵の主砲塔を狙って。絶対に武蔵を止めよう。芽衣ちゃん!武蔵の側面に来たら全魚雷発射!』
『照準点武蔵艦尾!全弾当てるよ!発射用意!てーっ!』
『釜がどうなってもいいから絶対止めんな!!』
まあ正直、どこから突っ込んでいいのか途方に暮れるザル脚本なのですが、発進・発射の段取りが好きな人にとっては珠玉の作品かもしれません。
「ハイスクールフリート【全12話】」
(2016年4-6月BS11他放送/信田ユウ監督)
坂本龍馬が暗殺を免れた世界線。
日露戦争後の講和条約によって中国大陸進出の足掛かりを失い、さらに石油やメタンハイドレートの採掘による急激な地盤沈下で平野部が海に沈んだ半分沈没日本。
代わりに海上都市が発達し、海洋立国として揺るぎない地位を獲得した日本。
国の要は海上の保安と防衛。この責を担う女性による海軍組織ブルーマーメイドは全女性憧れの職業となり…。
と言う、あちこち独自の発展を遂げたパラレル・ワールド・ニッポンが舞台。
幼い頃、ともにブルーマーメイドになることを誓った岬明乃と知名もえか。
9年後、ブルーマーメイドを養成する横須賀女子海洋学校で再会を果たした二人ですが、成績にちょっと差があったようで、もえかは超大型直接教育艦・武蔵の艦長に、明乃は陽炎型航洋直接教育艦・晴風(はれかぜ)の艦長に任命されました。
もえかはエリート艦、明乃は落ちこぼれ艦という訳です。
どうでもいい事ですが、作中「艦長」のイントネーションが「浣腸」と同じものに統一されており、ずーっと妙な気分を味わいましたです、はい。
入学式が終われば即海洋実習。事件の全てはこの海洋実習中に起こった事。
てっきり年単位の学園生活きゃっきゃうふふが描かれるものと思っていたので、この展開は意外。
晴風は航海長・知床鈴(しれとこりん)が方角間違えて集合地点到着に大幅遅刻。
まあ、そんなこともあるよね、と悠長に構えていたら、大型教員艦さるしまが実弾砲撃。
お仕置きか、訓練か、と思う間もなく速射砲乱れ撃ち。
遅刻の謝罪を打電&手旗で送るも徐々に砲撃は精度を高め…。
このままでは怪我人が出る…反撃を決断する明乃。
『訓練弾だったら絶対沈まないから大丈夫!うまく動きを止めてその間に逃げよう。戦闘用意!弾頭模擬弾!』
発射された魚雷はさるしまを補足…しかし…。
《横須賀都市海洋学校教官艦・さるしまより受信!学生艦・晴風より攻撃を受け大破!》
さるしま沈没。晴風にはクーデター疑惑が…。
きゃっきゃうふふから百万光年。これではかわぐちかいじです。
更に合同練習をするはずだったドイツの小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペーが出会いがしらに晴風に主砲発砲!
そのシュペーから小型艇が。乗っていたのはシュペー副長、ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク(長い!長すぎる!以下ミーちゃん)。
シュペーに何が? そして武蔵から非常通信回線。
《非常事態です…至急救援を…》
この謎の同時多発えらいこっちゃに立ち向かう事になる晴風。乗組員は入学式を終えたばかりで戦闘経験はもちろん、海上経験もゼロに等しい高校1年生女子。
という友情と対立と成長と陰謀と大海戦の物語。
材料もキャラ立ちも良かったので脚本の粗さが悔やまれます。
個人的なツボは(すげーあざとい仕込みなのはわかっておりますが)、ミーちゃんが「日本語の教材」として繰り返し観、晴風の記録員・納沙 幸子(のさ こうこ。ココちゃん)も大好きな映画「仁義のない争い」。
皆さんご存じのアレです。以後、事あるごとにこのシリーズの名台詞が(海軍用にアレンジされて)二人の口から…(嗚呼、また釣られてしまったよ…)。
最後、浦賀水道に突入する武蔵を止めるために、途中色々あった船が結集するところはジャンプ的で胸熱。
『識別信号確認!比叡!舞風!浜風!…アドミラル・グラフ・シュペー! それから…てんじんです!』
劇場版が出来たところを見ると2期も視野に入れているのだと思いますが、できれば次はもう少し“きゃっきゃうふふ”成分多めでお願いします。
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★本日4月27日は「婦人警官記念日(婦人警官の日)」
1946年(昭和21年)のこの日、警視庁で日本初の婦人警官62人が勤務に就いたそうです。
婦人警官と言えば…
※こんな作品しか思いつかない自分が誇らしい…。