アニメと同じく“うるかエンド”で幕を閉じた前巻から一転、後夜祭の打ち上げ花火を分岐点とするパラレルストーリー突入。
もし、あの時、触れ合っていたのが〇〇だったら?という全ヒロイン攻略ステージ。
第1弾は緒方理珠。
無難なチョイスですが、描き手にとっては一番難儀なキャラなんじゃないでしょうか(それ故、とっとと終わらせてしまいたいという心理もあったのではないかと邪推)。
成幸と最初のキスイベントを起こしたものの、実態としては事故。
その後、コスプレやらイメチェンやらの試行錯誤がありましたが、関係進まずトキメかず(故にキャラ投票では万年4位。1位の真冬先生とは実に8倍の得票差)。
緒方って「巨人の星」の左門豊作ポジションなんですよ。
直球投手時代の星をホームランに打ち取って華を持たせてもらいましたが、大リーグボールには手も足も出ず、1号~3号全ての攻略から蚊帳の外。
そんな緒方が成幸と結ばれるというのは初手から無理ゲー。
では、緒方編はなくてもいいのかと言うととんでもない。
だって、緒方が絡まなければ関城紗和子の出番がないじゃないですか。
「ぼくたちは勉強ができない COMICS第18巻/【X】=機械仕掛けの親指姫編」(2020年8月4日発売/筒井大志著)
お話のスタートは後夜祭から10か月後(うるかが告白をせずに海外留学した世界線)。
何と大学生となった緒方は関城紗和子とルームシェア!(しかも紗和子と名前呼び)
OK!筒井グッジョブ!
しかも!借りたマンションが駅から徒歩4分、3LDK最上階角部屋で家賃2万円ぽっきり。
えーそこってもしや…
はい。いつか成幸が真冬先生と内見に行った「家具付き」「地縛霊付き」の格安物件。
勿論、あの子(操-みさお-ちゃん)も健在。電化製品壊したり緒方のアイス食べたり大活躍中。
ウルトラ怖がりな緒方にみさおの存在を悟られないよう、緒方うどんでバイト中の成幸がなんやかや理由をつけて足繁く通うという設定です。
このままだとコメディ一直線で色も艶も彼岸の彼方。何よりドラマが走りません。
そこで関城紗和子ですよ。
関城の家庭環境、家族問題にスポットを当て、紗和子の心の空白(「寂しくないフリ」して生きていく方が…楽じゃない)を埋める手助けを。
更に紗和子の母・計子が父・翔との別居を決めて二人のマンションに転がり込んで来るのですが、この母がすげーいいキャラ。
のんびり屋でドジっ娘で…。加虐心がそそられると言った人がいましたがその通り。
真冬先生の牙城を脅かしかねない熟女キャラ(ヒロインは母とセットが宇宙の法則)。
この関城家の家族再生にみさおも一役買うという総力戦を展開。
みさおの過去(生前)にも触れながら、きっちり泣かせる結末に…って、あれ?
これって完全に緒方理珠編じゃなくて関城紗和子編になってね?
えっと…OK!筒井グッジョブ!
ってか何故関城ルートがないんだ。こんな子、絶対幸せにしたくなるだろう。
次巻はいよいよ文学の森の眠り姫・古橋文乃ルート。うるかルートに舵を切る前は絶対文乃ルートがトゥルーエンドだと思っていたんだけどなあ…。
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★本日8月12日はサミュエル・フラー監督(1912~1997)の誕生日。
17歳の頃から新聞社の犯罪レポーターを務め、第二次世界大戦中は北アフリカからヨーロッパでの厳しい戦闘に参加し勲章を。
「自らの裏社会での経験、戦争中の困難な体験、そして米国南部での人種差別への取材などから、独特のエキセントリックな作風を生み出している(Wikipediaより)」
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