『なぁ…知ってるか?花枝。
後夜祭一発目の花火をさ、触れ合って見た男女は結ばれるらしいぜ』
『…唯我先輩、それ今適当に作ったでしょう』
『おっ なんだバレたか。
…でも、今にこの学校のジンクスになるぜ』
これ作ったのお前だったんか~い!?
「ぼくたちは勉強ができない COMICS第21巻/[x]=薄氷(うすらい)の女王編」(2021年3月4日発売/筒井大志著)
マルチエンディングifルート、遂にフィナーレにして大トリ、ラスボスにして真打ち、桐須真冬先生の登場です。
成幸が新任教師として母校に帰って来たという設定ですが、まあ正直言って手詰まり感は否めません。
社会人となって再会というパターンはあしゅみー先輩編でやったばかりですし、家が隣合わせ(マンションの窓が超至近)という設定、ピーピングなハプニングもそのまま。
またこのパターンすか。
「ニセコイ」ネタもざんざっぱらやり尽くしたじゃないですか。
そしてまたこのパターンすか。
何より気になるのは卒業から流れた4年以上の歳月。その間、他ヒロインズは何をしていたんだと。
時間軸は伸ばしても卒業から1年以内くらいにしてくれないと、忘れ去られたヒロインズが不憫です。
あしゅみー先輩編は「孤島」という特殊環境であった故、他ヒロインズが関わらなくても違和感がありませんでしたが、母校舞台じゃそうもいかないでしょう。
誰かを取るというのは他の全部を振るという事で「最初からいなかった」事にする訳ではありません(滑り台にも行けないなんて…)。
そういう意味では、文乃・理珠が一歩引いて成幸の背中を押した「うるか編」、うるかが告った上でしっかり振られた「文乃編」はオトシマエをつけておりました。
今回は真冬先生の魅力に安直に乗っかってしまった感が強く…。
相変わらず「後出しジャンケン(成幸は幼少期に高校生真冬と手を繋いで後夜祭一発目の花火を見ていた)」は炸裂しまくっていましたし。
他ヒロインズの時と大きく違うのは、成幸に桁違いの熱意と情熱と行動が求められると言う事。
年齢と関係性(元教え子と教師)から踏ん切りがつけられず、他人との距離感が図れない元々の性格も相まって難攻不落の要塞と化した真冬先生を堕とすのは並大抵のことではありません。
そこいら辺、成幸は頑張っていたと思います。
駄目押しとなったタイムカプセルのエピもグッと来ました。
そして何と言ってもこれ☟
何ですかこの可愛い生き物。この可愛さの前には大抵の矛盾も不合理も大した問題ではありません(甘い?)。
で、実は一番引っかかったのは本編終了後。文化祭終了後のエピがおまけとして付いているのですが、この扱いが実に微妙。
読みようによっては、正編(うるかルート)含むすべてのifルートが「夢オチ」になってしまう危険を孕んでいて、いやぁなんでこんなもの付けちゃったんだろうと悩むこと暫し。
ま、言いたいことは色々ですが、兎にも角にもヒロイン全員に決着をつけるifルートもこれにて完結。
筒井先生、お疲れ様でございました。
★ご参考:別ルートと言えば…