『矛盾しとるよなあ。戦場に送り込まれた軍人が、戦った事の責任を問われるとは』
紛争の北アフリカに派兵された自衛隊。そこで運悪くゲリラと遭遇。止む無く反撃したら世論マスコミ袋叩き。
更迭された指揮官・白河(白竜)は辞表を出して自衛隊を去る事に。
白河家を訪ね辞表の撤回を求める自衛隊幹部。
『俺たちが日本を変えなきゃならん!』
『どうやって変える気だ?戦力を持ちながら、攻撃のできない軍隊を持ち、武器を使用すれば状況により責任を問われる国だぞ。真の独立国家とは言えんだろう』
真の独立国家になるためには…。
「サムライ」(2012年/片岡修二監督)
同名の映画が何本もあって紛らわしいですが、国家と軍隊に絶望した男がとある政財界フィクサーの後ろ盾でクーデターを画策する超低予算Vシネです。
金は無いが主張ならある。巻頭から迸るプロパガンダの奔流。
こんなドストレートな口上、「ゾンビ自衛隊」以来です。
「ゾンビ自衛隊」未見の方はOPナレーションだけでも聞いて(読んで)ください(全文書き起こしています)。
金さえ潤沢にあれば「皇帝のいない八月」「パワープレイ」「サンチャゴに雨が降る」になったかもしれませんが、悲しいまでの低予算。
結局、決起失敗・捨て駒の反旗という金の掛からない展開に。
小沢和義が今日も熱い。
が、しかし。製作年度をご覧あれ。Amazonによればこのビデオの発売は2012年12月。
「事業仕分けで防衛費削減」なんてテロップが踊っている事からも分かる通り、この映画が唾棄すべきものとして怒りの矛先を向けているのは民主党政権(迎撃ミサイルの開発研究が打ち切られたのがクーデター計画の遠因)。
民主党政権の終焉が2012年11月ですから、この作品は死者を鞭打つタイミングで発売されたことになります。
それだけでも頬が緩むじゃありませんか。
見捨てられた特攻部隊・白河が最後に刃を向けるのは…。
★ご参考
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★本日8月22日はレニ・リーフェンシュタール(1902~2003)の誕生日。
女優、映画監督、写真家として類まれな才を持っていたにも関わらず、「ナチ協力者」の烙印を生涯押され続けた不遇の人。代表作は勿論、
★本日のTV放送【19:00~BS12/土曜洋画劇場】