『いずれあなたたちを討ち滅ぼしてくれる英雄が現れます。レムの愛するたった一人の英雄が』
『へぇー英雄。そいつは楽しみだ。でアンタは誰?』
『ロズワール・L・メイザース辺境伯が使用人筆頭。今はただ一人の愛しい人、いずれ英雄となる我が最愛の人 ナツキ・スバルの介添人…レム!』
そう、名乗りこそドラマ。名前こそアイデンティティ。しかし、その名前が、記憶が…。
『スバル、レムって誰の事?』
存在を喰う怪物、白鯨は倒したはずなのに…。
「Re:ゼロから始める異世界生活 Season2/第26話-32話」(2020年7-8月放送/渡邊政治監督)
シーズン1から直球地続き。話数もシーズン1から引き継ぎで初回が通算第26話。
レムの名前と記憶を奪ったのは、魔女教大罪司教“暴食”担当 ライ・バテンカイトス。
白鯨に喰われた時と違うのは、物理的にいなくなるわけではないと言う事。
意識は失くしているがレムの肉体はそこにある。ただ誰も彼女が誰なのか分からない。
世界でただひとり、ナツキ・スバルだけが、抜け殻となった少女の名前を知っている。
『エミリア、1つお願いがあるんだけど』
『なあに?』
『後ろ向いててくれ。ちょっと泣く』
『うん。分かった』
『俺は必ずお前を取り戻す。必ずだ。俺が必ず、お前の英雄が必ず、お前を迎えに行く…待ってろレム』
シーズン2、ちょっと腰が引けていたのは、ナツキ・スバルの「調子こいてやらかしてしまう(結果、いらぬ誤解を生み敵を作る)イタイ性格」が見ていて辛かったからなのですが、そういう事はやり尽くしたようで、人間関係にドキドキする事はなくなりました。
これには白鯨戦から加わったオットーの存在も大きく寄与。これまでスバルがひとりで担当していたコメディ・リリーフをオットーが担うことで、スバルがより主人公映えするようになりました(しかもオットー、良い奴な上にいざとなると超有能)。
個人的前半の白眉は「第29話・親子」。
『強欲の魔女』 エキドナによって聖域の結界を解くための試練を受ける権利を得たスバル。
最初の試練は過去との対峙。
初めて明かされるスバルの家庭、父、母、幼年期と登校拒否の原因。
そのひとつひとつに向き合い、認め、受け入れ、吐露し、謝罪し…。
『しかしお前アレだな。かなりアホだな。色々気に食わんことが多いが一番はアレだ!俺に嫌われようとか思ってるくせにその方法が登校拒否ってアホか!っつか俺に見捨てて欲しけりゃもっと能動的にやれよ!誰が自分の殻に籠もったぐらいで自分のガキ見捨てるかっつの!』
最高の父親じゃないか、スバル。
『俺の名前はナツキ・スバル!菜月賢一の息子だ!だから何だってやれるし何だってやってやる!アンタの息子すげぇんだぜ!』
そう、名乗りこそドラマ。
『あぁ知ってるよ。なにせ半分は俺でできてるんだからな』
登校の意志を固めたスバルは学校へ。コンビニまで、と連れ添う母。
『俺はちゃんとできてるかな…?俺はちゃんとあの人の子どもをやれてるかな…?』
『大丈夫だよ。だってスバルの半分はお母さんなんだから。お父さんの半分までカッコよくなったらノルマ達成じゃない。お父さんの半分カッコよくなって 残り半分スバルになったらいいんじゃない?』
最高の母親じゃないか、スバル。
もう孝行はできない。それどころか会う事すら。別れの言葉を口にするスバルに母は、
『あっそうだ。スバル、スバル、忘れてた。いってらっしゃい』
それはあの夜、コンビニに行く時にもかけてくれた言葉。あの時は返せなかったが…。
『いってきます!』
シーズン2は信頼の物語(←今勝手に決めました)。誰も頼らないとは誰も信じないということ。シーズン1で繰り返し失敗した結果培った信頼と人間関係が一回りも二回りもスバルを大きくしています。
★シーズン1クライマックスのおさらいはこちらから。
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★本日9月1日は若山富三郎の誕生日(1929-1992)
真ん中でも脇でも鈍~く光るお方ですが、今日は真ん中を2本。
★本日のTV放送【25:55~フジテレビ】
※うまい具合に「マッドマックス・トミー!」と繋がりました(笑)