完結編となった14巻あとがきで「短編集の刊行」は予告されていましたが、いずれ読む機会があるんだろうな、程度の期待でした。
なんせ渡航さん、今期は「聖女の魔力は万能です」のシリーズ構成とかも手掛けてますし。
が、思いの外早く、その機会は巡って参りました。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第14.5巻」(2021年4月発売/渡航著)
Blu-ray BOXの特典とか既存再録もありますが、分量にして半分は書き下ろしの新作。
最初の短編が初詣の後日談(正確には当日の夜談)だったり、雪乃の誕生日プレゼントを結衣と買いに行った日の後日談(正確には当日の夜談)だったりしたので、おっと今回はミッシング・リンク繋げ編か?と思ったら、しっかり14巻のその後も描かれておりました。
真面目なテーマとしては、奉仕部の今後の在り方(比企谷が守ろうとして間違えた奉仕部と、由比ヶ浜や一色が期待する奉仕部と、部長を引き継いだ小町が目指す奉仕部と)なんてものがありますが、読み終えてみればもはや些事。
デレのんの魅力が全てを破壊。
告白1ヶ月後記念にいそいそとクッキーを焼いておずおずと比企谷に差し出す雪ノ下とか、もうキュン死でしょう。
まさか、バカップルと化した比企谷と雪ノ下を見てニヤニヤする日が来ようとは。
★告白シーンを確認したい方はこちらを。
一色いろはにも「まだメインヒロインの座を降りたわけではない」的な見せ場があるので、いろはすファンの方も必読(再びいろはすデート回か!?という期待は寸止めでしたが)。
★いろはす成分不足気味の方はサプリ代わりにこちらを。
由比ヶ浜だけがモブ街道まっしぐら(泣)。次は是非、由比ヶ浜捲土重来エピを混ぜておいてください(ママとセットがいいです)。
シリーズ通しての難をひとつ挙げれば、ドラマ内経過時間1年の尺に執筆経過時間約10年の時事ネタを遠慮なくぶち込んでくるので鮮度管理が滅茶苦茶という事でしょうか。
第1巻で比企谷が作文に「リア充爆発しろ!」と書いてから1年しか経っていないはずなのに、14巻で平塚先生がこの一文を引用したら比企谷本人が『それ古いですよ。10年前のセンスじゃねぇか』と突っ込むという自虐ぶり。
14.5巻でも、桜を見る会ネタが出て来たり、八幡と父親の唯一の会話が「シン・エヴァ」の感想言い合う事だったりと、後から全巻一気読みしようものなら「おいおい、この時代設定どうなってんだよ!?」な混乱を生むこと間違いなしなカオス構成。
まあ、それも愉しみの内ではあります。
で、またしても「あとがき」に気になる情報が。
何と「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結」なるプロジェクトが進行中とか。
「完」の次に「結」。これは「ひぐらしのなく頃に」が「業」から「卒」という流れになったのに呼応しているのでしょうか(…チガウ)。
映画化かTV4期かコミックスか。媒体不明の新プロジェクト。
期待しております。
★原作完結編14巻はこちら。
★アニメ版「完」最終回はこちら。
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★本日4月26日は作曲家ジョルジオ・モロダー(1940~)の誕生日(おめでとうございます!)にして、音楽家カーマイン・コッポラ(1910~1991)の命日。
どちらもクラシック・ムービーを音楽的側面から再生させた仕掛人です。
モロダーはドイツ映画を
そしてコッポラはフランス映画を。