分かっているだけで55人を屠ったシリアルキラー、オーラン・バスケス。人呼んで“ブッチャー”。
警官に撃たれ死亡したとされていますが死体は発見されず。
ホラー映画「ブッチャー」シリーズのモデルになり、今尚、悪魔崇拝者からリスペクトされまくり…。
彼には共に暮らした息子がおりました。
「デビル・アライブ」
(2016年/マーク=アンドレ・サムスン監督)
ちょいと有名過ぎる父親の存在は子供にとってもプレッシャーだったようで。
父の死から10年。成長した息子レナード・バスケロ(←中途半端に改名している)は立派な妄想型統合失調症になっていました。
秘密結社に追われている系の妄想に囚われ、レストランのウェイターをボコって逮捕。そのまま入院。
ここで、国が導入を検討している「在宅拘禁制」(テレワークではない)の実験対象としてレナードに白羽の矢が。
足首に電波発信装置を装着して自宅(元々叔父の家でしたが、車ごと崖からダイブして昇天。レナードが相続)で拘禁。
移動範囲は電波受信器から30m。これを超えるとアラームが発報。3回鳴ったら移動範囲縮小。発報後10秒以内に戻らなければリターン・トゥ・ホスピタル。拘禁期間は50日。
そんな制度ホンマにあるんかい?と思ったらあるんですね。
2011年に法務総合研究所が「諸外国における位置情報確認制度に関する研究 -フランス,ドイツ,スウェーデン,英国, カナダ,米国,韓国-」なんて報告書をあげております。
これによると米国では,ニューメキシコ州において,1983年にプロベーション対象者の外出禁止措置の確認手段として,無線電波方式の電子機器が利用されたのが走り…なんだそうです。本作の時代設定は1989年。拡大実証実験の一環と思えば違和感はありません。
※プロベーション…有罪の宣告を受けた者に直ちに刑罰の言渡しをせずに、一定の地域から離れることを禁ずるなどの制約を課しつつ、一定期間、公的機関の観察下に置くこと。
※興味のある方はこちら☟を。
http://www.moj.go.jp/content/000084728.pdf
お話戻ってレナードくん。30mって長そうに見えて滅茶短い(郵便受けにもたどり着けない)。
このままだと食料も薬も底を尽いて飢え死にと狂い死にの両面待ち。
仕方がないので新聞に求人広告出して「お買い物代行人」を募集。やって来たのは幼馴染女子。
ここから、レナードくんの病状が悪化。自宅周りの動物の死骸。樹の幹には悪魔の紋章。ヤバイ、ヤバイでえ。悪魔教の連中がまた俺を狙っている。
家の隠し扉の向こうには見るからにヤバそうな小部屋が。
叔父貴よう、ここで何してたんだよぉ?
遂には死んだはずの親父まで現れ…。
思いつくオチのパターンは
- 全部レナードの妄想
- 半分は妄想だが、半分は現実
- 全部現実
のいずれかですが、果たして本作は…(結構チャレンジャブルなオチだったのではないかと思います)。
※Amazon Primeで配信中。
★シリアルキラーに育てられた子供と言えば…。
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追悼:田村正和
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田村正和さんがお亡くなりになっていました。
4月3日。東京都港区の病院にて。心不全。77歳。
既に死後47日。
テレビの印象が強い方ですが、勿論映画も。
1本選ぶなら耽美な魅力が炸裂したこれ。
因みに本日5月20日は上記「日本の黒幕(フィクサー)」の監督、降籏康男氏の命日です(合掌)。
作中、田村さんの役名が今泉、監督がフルハタ。何の奇縁でありましょうか。
ご冥福をお祈り致します。
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★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】