スペイン産で悪魔祓い・・「エクソシスト」の激安バッタもんと思いきや、これがなかなかいい感じ。
家族という支配からの解放を夢見た人にとっては味わい深い一編かもしれません。
「エクソシズム」(2010年/マヌエル・カルバージョ監督)
エマは15歳。親の教育方針で学校に行けず。家で父が教師のホーム・スクール。
全てに於いて主導権を握っているのは母親。
「高校に行きたい? ホーム・スクールの方が学力つくの。友達より学力。大人になったらきっと感謝するわ。コンサート?駄目駄目。その日はパパもママも仕事なの。弟の面倒見てくれなきゃ。第一、子供だけでコンサートなんて」
ここで、ダンスとかローラーゲームとか別のガス抜きがあれば良かったのでしょうが、閉塞環境の中ではそれも叶わず。ほどなく彼女は悪魔憑きに。
悪魔憑きなんて!と言っていた両親ですが、エマの空中浮遊を目撃して宗旨変え。
手近な親戚、叔父のクリス神父に救難信号。この叔父貴、以前、エクソシズムで少女を1人殺しているバツイチ(?)神父。脛に傷、腹にイチモツ。
そして始まる“悪魔祓い”。しかし、徐々に悪魔は勢力を増し、家族は不幸のスパイラルへ。
悪魔がエマに憑いた理由は? クリス神父の真の目的は? といったあたりが後半明らかになるトリッキーな構成。
製作が「REC/レック」の人なので、ややそれっぽい(対象物と一定の距離を置く)カメラワークにドキュメント臭さを感じますが、ギリギリ、エンターテイメントの枠に収まっています。
エマ役はソフィ・ヴァヴァツール。「バイオハザード アポカリプス」の時はまだ少女でしたが、6年経ってやさぐれパンクな女に成長しました。
ホラーなので多少のショック・シーンはありますが、マンガチックな派手さは無し。“ズルズル系はちょっと…”という人にはとっつき安いかもしれません。