デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

是非、黒沢清監督でリメイクを。 らせん

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『安藤、お前は自分の子供取り戻すためにこの世界を売ったんだ。そうだろ?』

「リング2」が出来て、話が分岐し、支流が本流になってしまったために「なかった事」にされていますが、こちらが「リング」の正当な続編です。

「らせん」(1998年/飯田譲二監督)

 

そう言えば取り上げていなかったなぁ、と思っていたらAmazon Primeにラインナップされたので今更感満開ですが再見して改めて。

前作の『うぁあ!』なラストでショック死(?)した高山竜司(真田広之)の遺体が行政解剖に回されるところから仕切り直しスタート。

執刀医は高山の大学時代の友人・安藤満男(佐藤浩市)。

安藤は海で一人息子を亡くし、妻に去られ、毎朝悪夢から目覚めると同時にメスで手首を切ろうとして果たせないテンパリまくりな日々を送っておりました。

高山の死因は血管内に突然現れた腫瘍による心筋梗塞。胃からは謎の数字が記されたメモ片が。

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それはDNAのアミノ酸翻訳を使った暗号。高山から安藤に宛てたメッセージ。

安藤は、高山の第一発見者である高野舞(中谷美紀)から「呪いのビデオ」の存在を知らされますが当然信じず。

しかし、高山の別れた妻・浅川玲子(松嶋菜々子)の同僚・吉野(松重豊)から浅川の調査ノートとビデオを受け取り、双方に目を通してしまい…。

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ガチンコホラーだった「リング」から、呪いの正体を科学で解明する≪サイエンス・ミステリー≫に大きく舵を切ったために、「思ってたのと違う!」という拒絶反応を示した人も多かったようですが、一部人間関係と高山と高野の特殊能力以外はほぼ原作通りなので致し方ありません。

そもそも原作者☟が本作をホラーとして書いていないと思います。

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ども。屋上遊園地シーンでカメオ出演している原作者です。

 

それは完結編である「ループ」を読めば明らか。

ホラー(ホップ)→サイエンス・ミステリー(ステップ)→トンデモSF(ジャンプ)ってな感じなんじゃないでしょうか。

ただ、貞子が(役者も変わった上に)普通に顔出しとかしちゃっているので、公開時に「リング」から続けて「らせん」(2本立てでした)を観た人は、心の整理がつかなかっただろうなぁとは思います。

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初めまして。貞子です。


貞子の世界を相手取った壮大な謀略、その片棒を好んで担いだ高山と、葛藤の末に手を貸すことになった安藤。

その先に待っているのは破滅。

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この題材、間違いなく黒沢清の好物です。

是非、黒沢監督でリメイクを(できれば映像化不可能と言われている「ループ」とセットで)。

★ご参考(黒沢清デストピア博覧会)

 

追記と言うか余談と言うか…

「リング」を起点とするシリーズ(海外版含む)観ていていつも思うのですが、貞子の初期設定(両性具有)が最初に削られてしまい、それがその後の全てに影響しているのが実に悔やまれます。 

そのことについてはこちらで詳しく…

 

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★本日6月8日は金子修介監督(1955~)の誕生日(おめでとうございます!)

現時点でガメラゴジラを撮った恐らく世界で唯一の監督さんですが、個人的にはガメラ終盤とゴジラは迷走の極みだったような…。