Ah, Star Wars. That's good fiction.
ロニー・ピーターソン巡査(「スター・ウォーズ」続三部作でカイロ・レンを演じたアダム・ドライヴァー)のキーホルダーに付いていたスターデストロイヤーのミニチュアを見たゼルダ・ウィンストン(ティルダ・スウィントン)の台詞。
字幕だと「スーター・ウォーズね。名作です」になっていましたが、ここは後の展開を踏まえて「スター・ウォーズね。良く出来た映画でした」とかにして欲しかったところです。
「デッド・ドント・ダイ」
(2019年/ジム・ジャームッシュ監督)
ジム・ジャームッシュって何となく「スノッブが好みそうなお洒落系」のイメージがありまして(ええ偏見ですよ偏見)、彼が「ゾンビ映画」を撮ると聞いた時は「何を作る気なんだジム!?」と3歩下がって斜に構えてしまいましたが、これはこれでアリ。
お話は簡単。田舎町でゾンビが溢れて大騒ぎ。以上。
適度に羽目は外していますが、捻りとか工夫とかはまるでなく、緩~いオフビートな笑いが淡々と綴られるライト・コメディです(間違ってもホラーじゃない)。
全編に渡って「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」リスペクトが炸裂。
登場人物は基礎教養であるかのように映画の蘊蓄を語り、監督名を伏されたら「タラ?」とか思っちゃうレベル(タラ監督、次回作でアダム・ドライヴァー使いたいとか言ってますね)。
見どころは豪華出演者。
たった3人で切り盛りしている警察署の署長にビル・マーレイ。
しょぼくれた雑貨屋の親父にダニー・グローヴァー。
差別主義な農園の親父にスティーヴ・ブシェミ。
墓地脇の森で暮らす世捨て人にトム・ウェイツ。
こういうキャラが揃えばもはやストーリーとかどうでもいいです。
墓から蘇る記念すべき第1号ゾンビにイギー・ポップ(とその彼女。クレジットは女コーヒーゾンビと男コーヒーゾンビ)。
監督によれば、コーヒーゾンビのバックストーリーは「1973年のブルー・オイスター・カルトとのステージの帰り道にバイクで事故った」というもののようです。
この時ですね。
つまり、コーヒーゾンビはイギー・ポップが演じたゾンビではなく、正にイギー・ポップその人だったという…。
馬鹿ですねえ。
で、中盤以降のお話を全部持って行ってしまうのが、ティルダ・スウィントンが演じた葬儀屋継いだ外国人、ゼルダ・ウィンストン。
Tilda SwintonをちょっといじってZelda Winston。
片膝立てた変な仏像(いや如意輪観音とかも片膝立ててますが佇まいがふざけている)の前で日本刀振り回し(居合のような動きではなく太極拳のような緩やかさで)、〆の一言が「阿弥陀仏」(この日本刀でゾンビの首もスッパスッパ刎ねていきます)。
ゼルダと言えば「伝説」。偶然かと思いましたが狙ってますよね、これ。
おまけ其の壱
一瞬でしたが、芸が細かい。
おまけ其の弐
墓石に刻まれた名前がサミュエル・M・フラー。
フラー監督のフルネームはSamuel Michael Fullerなので合ってます(但し、生年・没年は異なります)。
という訳で見どころ一杯でございます。
こういうの観た時に「ホラーじゃない」とか「ゾンビじゃない」とか狭量な事を言ってはいけません。
特別ゲストのRZAさんも言っていたではないですか。
The world is perfect. Appreciate the details.
『世界は完璧だ。隅々まで味わえ』
★ティルダ・スウィントンと言えば…
★イギー・ポップと言えば…
★本日8月26日はクリス・パイン(1980~)の誕生日(おめでとうございます!)。
「スター・トレック」も「エージェント・ライアン」もわたし的には「う~む」でしたが、この作品はなかなかでした。