落語のジャンルに人情噺というものがあります。
「おいおい、笑いに来たのにウルっときちまったじゃねえかこの野郎」なお噺です(有名どころでは「芝濱」とか「百年目」あたりが好み)。
怪異譚にも人の情けが織りなす切ない系のお話が。
「おいおい、ビビりに来たのにウルっときちまったじゃねえかこの野郎」な怪談です(怪談も立派な落語の1ジャンルなのですが、そこはまあ置いといて)。
そんな血を流さず通わす語り口を身上とするのが、
「怪奇蒐集者《コレクター》 山田ゴロ」
(2018年/横山一洋監督)
漫画家山田ゴロが幼年期の思い出を綴る昔語りの怪異譚。
戦後間もない田舎の村で色々と“見えてしまう”目を持っていた五郎(本名:山田五郎)少年。
一部(親族からの)伝聞ですが、基本、本人の経験談と言うのが他の蒐集者と違うところでしょうか。
おしながきは、「帰還兵」「少年」「生まれ変わり」「開かずの間」「民ちゃん」「指」の6本。
どれも五郎少年の周りにあった怪異譚ですが、中でも大技だったのが「開かずの間」。
友人宅の奥座敷にある「開かずの間」をいたずら半分で開けてしまった(正確には天井裏から覗き見てしまった)五郎たち。
その日の夜から関係者の家族を襲う怪異。それは祟り。
「根絶やし」の勢いで広がる祟りから逃れる術は…
というお話の顛末よりも気になったのは、そもそも開かずの間には何が封印されていたのか、という事。
田舎の因習恐るべしなオチが待っておりました。
例によって個々のお話を深掘りするとネタバレになってしまうので、テーマから連想される関連作をご紹介。
「生まれ変わり」、しかも比較的短期間スパン転生の夫婦モノと言えば「愛と死の間で」(1991年/ケネス・ブラナー監督)辺りを挙げるのが筋ですが、曼荼羅畑的にはやっぱりこれ。
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★本日8月31日は別所哲也(1965~)の誕生日(おめでとうございます!)
別所哲也がウルトラマンであった事を知っている者は少ない(多分)。