かつてはロシアン・マフィアのボス、今は引退して実録系犯罪小説家。まぁそれなりに成功している男、ルスラン(スティーヴン・セガール)。
別れた女房からひとり娘の結婚を知らされましたが、相手はこともあろうにかつて敵対していたロシアン・マフィアのボス、ミカエルの息子。
怒り心頭なのは向こうも同じ。
これからマフィアの帝王学を教え込もうと思っていたのに足を洗って堅気になるだと⁉ しかも結婚相手が検事であのルスランの娘!?
ここまでがロシアン・マフィア版「ロメオとジュリエット」。
勿論、ただで済むはずもなく、式の準備中に賊が乱入して元妻死亡、娘重体。
ここからロシアン・マフィア版「狼よさらば」。
瞬間核融合した花嫁の父は誰にも止められません。
「沈黙の鎮魂歌」
(2009年/ジェフ・F・キング監督)
沈黙シリーズ初の公募邦題…にしちゃあ据わりが悪い(笑)。短縮形は「ちんちんこん」か。
原題は「DRIVEN TO KILL」…のはずですが、何故かアマプラ版のタイトルは「RUSLAN」。
ルスラン、そうセガールの役名です。「ランボー」とか「ジョン・ウィック」とか「レオン」とかと同じ文脈。
製作総指揮セガールの思い入れの賜物でしょうか。
で、このルスランさん、怒りに燃えている上に元がマフィアですから、行動に歯止めがありません。相手が一般人だろうがチンピラだろうが丸腰だろうが問答無用でささらもさら。
舐めた口きくチンピラには顔面コップ掌底、タフを気取る質屋の親父には顔面ショーケース割りの洗礼。
婿になるはずだった御曹司を引き連れて暴れまくりますが、珍しくアクションは全部自分。殺る気満々です。
銃撃戦と近接格闘を織り交ぜてバランスよく死体(一部怪我人)の山を。
銃火器の種類もふんだん。目についたものを大小ひとつずつご紹介しましょう。
まずは小さい方。
昔の仲間が「これが必要だろ?」と渡してくれたのが札に包んだ小型拳銃「S&W Model61 Escort」。
スミス&ウェッソン社が開発した、護身用のポケットピストルです。
「タクシードライバー」でトラビスがコートの袖に仕込んだ飛び出す拳銃(スリーブガン)と言えば「ああ!」と頷かれる方も多いのでは。
製造期間が1970~1973と短期間なので、結構レアな銃かもしれません。
★M61エスコートが付属した大馬鹿グッズ「びっくるくん」はこちら。
もうひとつ、大きい方。
終盤で敵が階下からパスパス景気よく天井(上にいる人にとっては床)ぶち抜いていたDaewoo K3。
大韓民国国軍の要求に基づいてベルギーのファブリックナショナル社(FN社)が設計し、大韓民国のS&T大宇が製造する分隊支援火器です。
こいつにパラトルーパーストック+レール付きフィードトレイカバー+レール付きハンドガード+フォアグリップ+プラスチック製ベルトボックスというコッテコテの厚化粧を施した奴が大暴れしておりました。
にしてもあれだけの騒ぎを起こしておいて、何事もなかったように元の生活に戻っているセガールって…。
最早、合衆国の法律ではセガールは裁けないという事でしょうか。
おまけ
かつてこれほどパソコンが似合わない男がいたでしょうか。
★因みに本日9月26日は「ワープロ記念日」です。
1978年(昭和53年)のこの日、東芝が世界初の日本語ワープロ「JW-10」を発表しました。
ワープロ単体の筐体(書院とかOASISとか)は姿を消してしまいましたが、ワープロソフトは健在。本作のセガールもPCにインストールされたソフトを使って文章をちまちま打っていたのだと思いますが、作家さんの小道具として絵になるのはやはりタイプライター。
タイプライターと言えば「シャイニング」ですが、変わり種としてこんなのも(いや絶対打ちたくないですけどね)。
★ご参考❶ 体液迸るロメオとジュリエットと言えば…
★ご参考❷ 正しいロシアン・マフィアの実態を知りたければ…
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★本日のTV放送❶【20:00~BS日テレ/日曜ロードショー】
※毎年どこかのチャンネルで放送してないか、これ。
★本日のTV放送❷【21:00~テレビ朝日】