ポスター・ビジュアルがシリアスなので知らずに観ると景気よく肩透かしを食らいますが、基本はコメディ。手作り大馬鹿スプラッターです。
「ヴィクター・クロウリー -史上最凶の怪人-」
(2017年/アダム・グリーン監督)
ルイジアナ州ニューオーリンズのハニー・アイランド沼にいると言われる伝説の怪物ヴィクター・クロウリー…を主役にしたスプラッター「ハチェット」シリーズ(3部作)のセルフ・リブート。
ヴィクター役もオリジナルを引き継いでケイン・ホッダ―(13金4本「PART7/新しい恐怖」「PART8/ジェイソンN.Y.へ」「ジェイソンの命日」「ジェイソンX」でジェイソン演ってた人)。
水辺が舞台で、子供のいたずらで悲劇が起きて、成長した子供は大男で醜くて得物が刃物…というまあ違いと言えばホッケーマスクの有無と演出の基本方針がコメディである事くらい(いや、この差はデカいか)。
最初に血祭りに挙げられるバカップルが作品のカラーを雄弁に物語っています。このノリに違和感を覚えたら撤収するが吉(私は「OK!理解した」)。
このバカップルに限らず、全編に渡って登場するお姉さん方が、その何と言うか「綺麗どころ」ではないんですよね(当然、お色気要員も無し)。
主人公は10年前の惨劇(犠牲者40人超え)を生き延びたアンドリュー(パリー・シェン☜役名違い含めシリーズ皆勤賞。ヴィクター実在の証拠はどこにもないので、世間的にはこいつが40人殺した犯人だと思われている)。
彼が自書「I,Survivor」出版記念のドキュメンタリー撮影でハニー・アイランド沼に行く途中で飛行機墜落。沼どっぽん。
セットですが沼地の飛行機は絵になります(窓が紅く染まっているのもGOOD)。
沼にはヴィクターを主役にしたホラー映画の資金集めのためにプレゼン用予告編を作りに来た若者3人が。
ヴィクターを呼び出すにはヴゥードゥーの呪文が必要なのですが、どう発音するのか分からない…ので、スマホで動画検索したらそのうちのひとつがビンゴでヴィクター復活(「死霊のはらわた」をひと捻り)。
「CG無し」というトム・サヴィーニリスペクトなゴアシーンは気合入りまくり(でもわざとチープな作りにしているので、どこか微笑ましい)。
好き嫌いの分かれるコメディ演出ですが、本作の「間合い」は結構好き。笑いもゴアもタイミングが大事。
エンドロール後にニュース番組を観ていた旧シリーズのヒロイン、ダニエル・ハリスが『I've been waiting for you, motherfucker!』という景気の良い啖呵を吐くサービスカットが。
ん? これと同じ終わり方をした作品を最近観たような…。
「リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ」だ。
1作目のヒロインを3作目のラストカットに持ってきて決意表明させて次に繋ぐという。
左が「ヴィクター」、右が「リターン・オブ~」
作る気なのか、続編…。
おまけ
ハニー・アイランド沼の売店で売られているヴィクターのぬいぐるみ。
ちょっと欲しい。
★ケイン・ホッダ―がジェイソンを演じている「13金」4連発。
★アダム・グリーン監督も参加しているやっぱりお馬鹿なオムニバス。