『奴らにはただの領土だが、俺たちにとっては故郷だ』
For them, this is just a place. But for us, this is our home.
もう兎に角「突っ込んだら負け」の映画です。
ある朝突然、北朝鮮がマーケットガーデン作戦のようにパラシュート降下してきて全米制圧。
間一髪、難を逃れた若者数名がゲリラとなって抵抗開始。
国防どうなっている!?とか、軍はバケーションか!?とか、相手が宇宙人でも突っ込んでいく大統領はどこ行った!?とか、素人がゲリラ戦って!?とか、こんな時必ず巻き込まれては全部ひとりで解決してしまうツイてない刑事はいないのか!?とか、疑問の山が武田騎馬軍団の勢いで押し寄せてきますが、耳を傾けてはいけません。
国と家族を想う心は何物をも打ち砕くのです。
「レッドドーン」
(2012年/ダン・ブラッドリー監督)
ジョン・ミリアス監督が1984年に撮った「若き勇者たち」のリメイク。
前作で降って来たのはソ連でしたが、今回は中国…のはずでした(実際そのように撮影しました)が、中国から物言いがついてポストプロダクションで北朝鮮に変更(追加予算100万$)。
前述したように「突っ込んだら負け」なので、お話の周辺をウロウロしたいと思います。
まず、主人公(のひとり)ジェド(クリス・ヘムズワース。海兵隊員。休暇でイラクから里帰りという設定)が飲んでいるビール。
おお、それは「ディア・ハンター」でデ・ニーロやクリストファー・ウォーケンがベロベロになるまで飲んでいた「ローリング・ロック」ではありませんか。
中盤、山中で鹿を仕留めるシーンなんかもあるので、私の中ではディア・ハンター・リスペクトな作品と記憶されました。
銃火器は協力者から提供してもらうのですが、その中の一丁 TEC-DC9。
ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)の分類は「拳銃」ですが、元々短機関銃として開発されたセミオート火器。
本来フルオートにしか用いられない「オープンボルト方式」を採用しているので制度が悪い反面、フルオートへの改造が容易(しかも安価)という利点(?)があるため、ギャング御用達として名高い銃です。
ジェドが試し撃ちをしますが、集弾率ボロボロ。周り全部が敵という状況でないと味方も蜂の巣という危険アイテム。
1歩2歩3歩と前に出てようやく的に全弾命中。
最後に言葉足らずな字幕について。
ゲリラ戦を展開している海兵隊残党と合流して敵の本拠地を叩く事になったジェドら。
作戦開始前に交わした会話。字幕では、
『死ぬにはいい日だ』
『何それ?』
『安心しろ。海兵隊は死なん。地獄へ行くのさ』
となっていましたが、本来の台詞は、
It's a good day to die, gentlemen.
What did he say?
Don't worry about it. Marines don't die. They just go to hell and regroup.
最後の台詞を正しく訳すと
『心配するな。海兵隊は死なんよ。地獄で再編成するだけさ』
になります。地獄へ行くのさ、で終わってしまうと何だか海兵隊が悪行積み重ねているみたいに聞こえません?
★ご参考(ローリング・ロックと言えば…)
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★本日10月31日はピーター・ジャクソン監督(1961~)の誕生日(おめでとうございます!)。
すっかりファンタジーの世界に入り浸っているピージャクさんですが、初期3本(下記+「乙女の祈り」)こそが真骨頂なのではないかと。
★本日のTV放送【19:00~BS12/日曜アニメ劇場】