デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【車椅子の殺し屋】ヒットマン:インポッシブル【ハードボイルドでもノワールでもない。青春映画だ】

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ハンガリー。脊椎に問題を抱え、手術しないと体内の臓器が互いを潰しあう独りバトルロワイアルが勃発してしまう車椅子の青年ゾリ。

単独歩行は可能ですが、言語と動作に障害を抱える友人バルバ。

彼らが出会ったルパゾフは元消防士。

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消火作業中の事故で両足を潰してしまい車椅子。消防士を辞め、刑務所のお世話にもなったルパゾフの今の仕事は「殺し屋」でした。

ヒットマン:インポッシブル」
(2016年/アッティラ・ティル監督)

 

このタイトルだと「お、新しい形のハードボイルドか」とか「ハンガリーノワールか」とかあらぬ期待をしてしまいますが、全然違います。

軽いコメディ要素も入った(ただ扱っている現実は重い)青春映画で、強いて近い箱を探すならバス男ナポレオン・ダイナマイト)」とかになりますでしょうか。

 


自分と母親を捨ててドイツに帰った父親の金に頼るのは嫌だと頑なに手術を拒否するゾリ。

ゾリとバルバはルパゾフの仕事を手伝う事に。

ミッションは見事クリアしましたが、単独行動前提の仕事に素人を加えた(それだけ発覚と返しのリスクが高くなる)事に依頼人が激怒。ルパゾフにゾリとバルバの殺害を命じますが…。

ゾリとバルバがコミコン用に描いているコミックが要所要所に挟まれ、グラフィック・ノベルの雰囲気も。

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「生きる希望も失った孤独な男が、最後に課した不可能<インポッシブル>なミッションに挑む!」なんて解説を読むとルパゾフが主人公みたいに見えますが、主役はゾリ。

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ただ、ルパゾフのヒットマン能力、特に射撃は見事。あの距離、あの時間であれだけの人数倒す(しかも車椅子に乗って)のはなかなかに神業です。

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友人バルバには直接的な加担の動機が見当たりませんが、まあ友達想いで付き合いが良い奴という事で。

原題は「TISZTA SZIVVEL」Google先生に訳して貰ったら「純心で」、Deepl先生に訳して貰ったら「誠心誠意」と出ました。ハンガリー人なら誰も知っている有名な詩の題だそうです。

嗚呼、どんどん「ヒットマン:インポッシブル」から遠ざかっていく…(笑)。

 

 

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★本日1月2日は、テレビディレクター中川晴之助監督(1931~2018)の誕生日。

中川監督と言えば何と言っても「ウルトラQ」の異色作3本(「鳥を見た」「育てよカメ」「カネゴンの繭」)。

加えて本日は「ウルトラQ」の放送がスタートした日(1966年)。

正月二日目からの放送だったとは。何と前のめりな。

★本日のTV放送❶【20:00~BS11

★本日のTV放送❷【28:35~テレビ東京