『こいつは“H”だ』
『H?』
『水素爆弾のH、仏様のHだよ』
これ訳すの大変だったでしょうねえ。
台詞は『Like the bomb, or like Jesus H.』
爆弾(bomb)はいいとして, Jesus H? Jesus Christなら分かりますが、それだとどこにもHが出てきません。
実はJesus Christの慣用句的正式名称は“Jesus H Christ”でミドルイニシャル「H」が入るんだそうです。
Hの語源は諸説紛々。
HolyのHだとか、「天にまします我らの父よ(Harold be thy name)」のHだとか、イエスには人間の父親がいないのでHaploid(対になっていない単一の染色体)のHだとか、ギリシャ語のイエスの名前の最初の3文字で作ったモノグラムに由来する(←何かこれが有力説っぽい)とか。
そんな事、日本人の知ったこっちゃないですし、字幕で説明するのは不可能なので、えいや!で「仏様のH」と訳したのはある意味英断であったと思います。
そんな水爆級の仏様、ジェイソン・ステイサムが深く静かに憤る映画が、
「キャッシュトラック」
(2021年/ガイ・リッチー監督)
原題は「WRATH OF MAN」。男の怒り。怒っているんですねえ。
現金輸送専門の警備会社フォーティコ警備の採用面接に訪れたパトリック・ヒル(ジェイソン・ステイサム)。
車の運転も射撃の腕もそこそこ(テストはギリ70点で合格)ですが、真面目そうだし前職も倒産しちまったけど有名な警備会社だしって事で採用決定。
呼び名はヒルの頭文字をとって「H」。
ある日、Hと相棒ブレットが乗る現金輸送車が強盗団の襲撃に。しかし、Hは正確無比なヘッドショットを立て続けにかまして犯人グループ6人全員をホトケにして神様に返品。
別のグループの襲撃を受けた時は、輸送車から降り立ったHの顔を見た瞬間、犯人全員回れ右して即時撤退。
H、あんた一体何者?
というミステリアスな導入部から時間軸を行きつ戻りつしつつ、徐々にHの正体と目的が明らかになっていきます。
「スナッチ」の頃はちっと鼻に着いたスタイリッシュな語り口もすっかり落ち着いて嫌味なくいい感じ。
Hの同僚にジョシュ・ハートネット(あ、何かお久しぶり)、襲撃犯の厄ネタポジにスコット・イーストウッドが。
トニー・スコット亡き後(あちこち脚本に穴がある事も含めて)空席になっている「娯楽映画の職人監督」枠に収まるんじゃないかと思える出来でありました。
★ジェイソン・ステイサムで1本あげるなら、
★本日1月6日は菊地凛子(1981~)の誕生日(おめでとうございます!)
芸達者な「国際派」女優さんですが、結構こっち寄りな作品にも。
まずは声優として浮き…あいや実力(?)を見せつけた
そしてその押井実写で存在感(?)を際立たせた
最後に期待に胸膨らませた(いや別に裏切られてもいませんが)海の向こうの怪獣映画。
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