デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【邪馬台論争決着?】トゥームレイダー ファースト・ミッション【そこには九六式陸上攻撃機が!】

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ゲームに於ける「架空の日本」という設定(世界観)には何の違和感も覚えませんが、映画でやられるとちょっと引くものがありますね。

ましてやネタ元が邪馬台国となると尚更…。

トゥームレイダー ファースト・ミッション(2017年/ローアル・ユートハウグ監督)

私ら年配者は「トゥームレイダー」と聞くと1997年のPS版(アンジェリーナ・ジョリー版「トゥームレイダー」の原作)を思い浮かべてしまいますが、今回の元ネタは2013年発売のPS3その他版リブート作「トゥームレイダー」。

邪馬台国ネタはこのゲーム内容に準拠しています。

女冒険家ララ・クロフトの若き日の最初の冒険が描かれるエピソード1的なお話。

日本の最初の女王・卑弥呼は呪力で国を治めていましたが、部下の反乱で失脚。魔の海域(日本の近海にあるとされるバミューダ・トライアングルみたいな所)の中にある絶海の孤島で生き埋めにされたそうで。

「The lost island of YAMATAI」とか言っています。邪馬台国って島だったんですね(論争終結!)。

で、この卑弥呼の墓を暴いて封印されし呪いを解き放つと世界が滅ぶんだか支配できるんだかで、惡の秘密結社がそれを狙っている、と。

させるかよ!と立ちふさがったのがララのお父ちゃん、リチャード・クロフト

しかし、7年前に行方不明。実家の隠し書斎から卑弥呼に関する研究資料を発見した娘、ララ・クロフトアリシア・ヴィキャンデル)が謎を解きながら父のルートをトレスして邪馬台国へ。

ってなお話です。

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ふんだんに製作費つぎこんだんでしょうが、その割には建て付けが超テキトー。特にお父ちゃん絡み。

何で邪馬台国行くのに香港から船なん?

あなた、大企業(持っている会社のリストだけでクソ分厚いファイルができる)クロフト社のトップでしょ。船でも飛行機でも金でどうとでもなるのでは?

「(邪馬台国に)一番乗りして卑弥呼の力を惡から守らねば」とか言っていますが、集めた資料の中に悪の秘密結社さんがせっせと発掘作業している写真があるじゃない。最初から後塵拝していますよ(実際、向こうの方が先に現地入りしていたみたいだし)。

(お父ちゃんは悪者に殺されていた設定になっているのでネタバレになっちゃいますが)洞窟で7年間もサバイバルしていた割りに歯真っ白。何で磨くとそんな真っ白い歯になるんだい?

あと棲家にしている洞窟、ナバロンの要塞みたいな断崖絶壁にあったはずなのに、翌朝穴から顔出したら目の前海岸っておかしくないか。別の出入り口があったとしても高低差滅茶苦茶だろ。

とかどーでもいい部分が気になってお話に集中できませんでした。

ただ、たまに「お!」となる絵柄が出てきて「画作り」は巧いんだなぁとは思いました。

嵐に翻弄されて岩礁滅茶ぶつけになった船から海に飛び込んだ瞬間とか。

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敵に追われて落ちた川の先、滝の手前に引っかかっている戦闘機とか…ってこの飛行機、三菱G3M九六式陸上攻撃機じゃありませんか。

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1935年運用開始で1945年退役の機体ですから、第二次世界大戦中にこの島に墜落したって事ですよね。

一体どんな経緯があって、この島に…嗚呼またお話と別な方向に意識が…。

変にあちこち見せ場を散らそうとせず、こじんまりB級テイストで(でも肉体はバンバン使って)90分くらいにまとめてくれれば好印象だったと思います(118分は長すぎだ)。

終盤の連続発動するトラップを右に左にかわしながら出口を目指すシーンはまんまQTE(クイックタイムイベント。画面に表示されるボタンをタイミング良く同時押しとか連打とかして危機回避するイベント。ミスると即死)でゲーム感満開ではありました。

第二次世界大戦時の日本軍の置き土産と言えば、

★この監督さんが撮ったノルウェー時代のパニックものはこちら。

 

 

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