アカデミー授賞式でウィル・スミスのビンタを喰らって一躍時の人となったクリス・ロックの初ホラー。
一応、本家「ソウ」シリーズと同一世界線上の話ではあるのですが…。
「スパイラル:ソウ オールリセット」(2021年/ダーレン・リン・バウズマン監督)
監督は本家「2」「3」「4」撮った人ですし、脚本は前作「ジグソウ:ソウ・レガシー」書いた人。何より製作総指揮にジェームズ・ワンが名を連ねています。正当な本家シリーズであることに間違いはないのですが…。
なんでしょう、この「これじゃない感」満開な出来栄えは。
要するにジグソウのコピーキャットが腐敗した警察組織に鉄槌振るう復讐劇なのですが、所詮コピーキャットなので、トビン・ベルが醸し出していた犯罪インテリジェンス?みたいなものが全く感じられません。
で、やっぱりクリス・ロックがねぇ…。
冒頭、ヤクの売人組織の襲撃準備をしている奴らが「フォレスト・ガンプ」について熱く語るシーンがあるのですが、クリス・ロック(本職刑事ですが潜入捜査中)の喋り方が馬鹿っぽくて…。
わざと(相手に合わせて)そういう喋り方をしているのか、「フォレスト・ガンプ」(を支持する人)を馬鹿にしているのか(であれば大賛同)、そもそもスタンダップ・コメディアンというのはこういう話し方なのか判断つきかねますがこちらの第一印象は「わー何だこの頭の悪そうな奴」。
脚本家としては「レザボア・ドッグス」冒頭のマドンナ論議みたいなノリにしたかったのかもしれませんが、タラの向こうを張るには力量差ありすぎ。
で、クリス・ロックの父親で引退した前署長がサミュエル・L・ジャクソン(笑)。
撮影初日の最初の台詞が「MOTHER★UCKER!」。何この偏差値貧乏親子。
ジグソウの目的は「改心の機会を与えて人生やり直させる(ただし犠牲は払ってもらう)」でしたが、今回は根が復讐なので犠牲者は皆無慈悲に死んでいきます(チャンスはあるように見えて無い。Make Your Choiceとか言いつつ、実はMake My Choice)。
犯人途中で丸分かりなのも痛い。
「SAW」と言えば、最後に「あの」テーマ曲に乗って、バラバラに提示されたヒント映像が一気に繋がって全貌が明らかになるクライマックス・カタルシスですが、これが見事に無い。
脚本が薄いから頑張ってもカタルシスに昇華しないんですね。
殺しの小道具はそれなりに凝っているので「SAW」の冠が無ければ「良く出来た≪なんちゃってSAW≫≪なんちゃってSEVEN≫」くらいの評価にはなったと思いますが、本家となると…(いや、大迷走した本家終盤よりはマシか…)。
続編作る気なのかなぁ。出来ればもう一回仕切り直しを…。
★大迷走した本家終盤はこちら。
★本来、仕切り直しだったはずの前作はこちら。
★「フォレスト・ガンプ」についてはこちらを。
★クリス・ロックも(台詞の中で)望んでいたガンプの続編「ガンプ・アゲイン」が出て来るジョン・ウォーターズの迷作はこちら。
★ついでなのでダーレン監督の「SAW」以外作も1本。
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★本日6月16日は「無重力の日」。
「地下無重力実験センター」があった北海道上砂川町が1991年(平成3年)3月に制定しました。日付は勿論6(む)16(じゅうろく)から。
映画で無重力と言えば「2001年」と、