まるでテーマパークのアトラクションのようなイベントのつるべ打ち。その中に見え隠れする“再生”の物語。
構造はシンプルですが、噛めば噛むほど…。
「ゼロ・グラビティ」
(2013年/アルフォンソ・キュアロン監督)
本来ならIMAXの3Dというのがあるべき鑑賞法なのだと思いますが、叶わなかったのでBDをモニター画面から30㎝という「相対視覚占有率IMAX」な距離で視聴(良い子は絶対真似しちゃ駄目)。
地上600㎞。地球を周回するスペースシャトルで作業中のエンジニア、ストーン博士(サンドラ・ブロック)。その周りを楽しげに遊泳するベテラン宇宙飛行士コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。
右も左も前も後も上も下も無い空間をカメラが泳ぐ。凄い。
ここでロシアが自国のスパイ衛星を破壊。飛び散った破片が他国の衛星を次々粉砕する迷惑千万なチェーン・リアクションを展開。
ジャコビニ流星群と化した残骸弾がとんでもないスピードでシャトルを直撃。
ロシアの「二次災害は想定外だ」という言い訳が素敵です。
ここからは絶望と希望が寄せては返すイベントの波状攻撃。
登場人物たった2名(中盤以降はほぼサンドラ・ブロックひとり芝居)。骨格標本並みのシンプル設計なのに91分息つく暇なし。
エアロックを外すたびに景気よく開くハッチ、といったストレートな描写が危機感増強(結構ドキドキします)。
燃料ゼロ。子宮の中で死ぬか、重力のある世界へ戻って生きるか。
前半のパニクりまくりなサンドラがサバイバーになっていく様は二代目リプリーの風格。
余計なプロローグもエピローグも無い簡にして潔な構成も好感度大でした。