俺の名はジェリー・フェン。超常現象専門ライターだ。
かつてはそこそこ売れっ子だったが、ちょいと魔がさして記事を捏造しちまった。
そこから落ちぶれて東スポにも載らないようなチンケな記事を書いて糊口をしのいでいる。
今日も田舎で牛の怪死事件があったってんで来てみたら、牛生きてるし。
ケツに悪魔崇拝者の刻印が入ってる? これはメタリカのロゴマークだ。
くっそー無駄足か。おっとこんなところに不気味な枝ぶりの古木が。
根元に何か埋まってるな。人形? 魔除け? お守り?
日付のプレートが付いている。1845年2月31日? 気色悪り…
『よし、こうしよう。古いお守りが壊された時から家畜の怪死が始まった』
『まだ壊れてないだろ』
ふん!
『なんて事を…』
『元から壊れてたんだよ。よっし、発見者の写真を撮ろう。そこに屈んで』
罰当たり…と言うのは聖なるものを穢した時に使う言葉ですが、邪悪なものを解き放ってしまった場合は何と言えば良いのでしょう。
「アンホーリー 忌まわしき聖地」(2021年/エヴァン・スピリトポウロス監督)
食事をして帰り道、例の古木の前で誓いの言葉を捧げ、そのまま失神する女性を発見。
彼女はアリス。村の教会の神父の姪。生まれつきの聾唖。聞くことも話す事もできない…はず。
翌日の礼拝で、アリスは皆の前で生まれて初めて口をきいた。
自分は見た、マリア様を。自分は受けた、マリア様の祝福を。あの方の言葉を伝えます。
アリスの言葉で先天性筋ジストロフィーの少年が立ち上がり歩いた。奇跡だ!
こいつはホンモノだ。彼女を独占取材すれば再び名声が俺の元に。
司教やら司祭やらがやって来て奇跡の検証を始めた。ホンモノのお墨付きがもらえればこの田舎町は聖地として認定される。成り上がりのチャンスだ。
勿論、そんな美味しい話があるはずもなく。
お話としては実に有体なのですが、フェン役のジェフリー・ディーン・モーガン始め役者陣が皆良い感じで作りは真摯(予定調和ではありますが終わり方とか結構好き)。
難を言えば「邪悪なるもの」の描き方(デザイン含め)が凡庸(動きにJホラーの影響も見られますが、兎に角、怖くない。愛くるしささえ感じちゃいます)。
びっくらこいた系の演出も多く、ここをハッタリかまさずジワジワ来る系にしてくれれば、かなり印象が違ったような。
監督さん、ディズニーアニメ(一部実写)の脚本がフィルモグラフィーの大半でホラーは専門外なのかもしれません。
関係ないですが、アリスの叔父の神父演ってたウィリアム・サドラーは「ビルとテッド」シリーズの2作目3作目で「死神」演ってます。
★ジェフリー・ディーン・モーガンの比較的近作をふたつほど。
★死神の話もちょっとだけ。
★本日8月18日はエドワード・ノートン(1969~)の誕生日(おめでとうございます!)
この人が出ているとそれだけで安心感があるデパスみたいな役者さんです。
今回はこの2本立てで。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】